FOTOCAMERE ITALIANE-Bencini

Fotocamere Italiane(イタリアンカメラ)

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ベンチーニ・コメットIII 75mm f11
Bencini Comet III 75mm f11

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 天下の単純カメラ、ベンチーニ様のお出ましです。このメーカー、マジですごいですよ。ダースト・ドゥーカもクロスター・スポルトも顔負け、天下無双のシンプルカメラを最初から最後まで一貫して作り続けた偉大なメーカーなんです。このベンチーニよりシンプルなカメラとなると…、うーん、写るんですの初期型くらいかなあ。あ、あれにはカウンターがあったから、やっぱこっちの方がシンプル(^∇^)!
 このカメラが登場したのは53年。C.M.F.からC.M.F. Benciniになって後述するRolet、Relexを経てベスト判のCometが最初に登場したのが48年でして、以降、127フィルムと135フィルムを使用するものに、主にコメット名が使われました。でも、Korollの名前が使われるようになると、51年から53年までは120から135まで、どれもがコロール某になっちゃって、訳が分かりません。53年に思い出したようにこのコメットIII型を発売したのですが、いきなりすっ飛んだデザインでの登場に、そりゃもう「何これ〜」と思われたことでしょう。明らかに変ですもんね。
 一見するとデコボコしていて、その何やら複雑そうなデザインがイケそうな様相を呈していますが、実は全くのお子ちゃまレベルで、焦点距離の書かれていない75mm f11の単玉レンズに、1/50秒の単速シャッターが付いているだけ。あ、バルブも付いてはいます。偏差値で言えば30そこそこですな。127フィルムの巻き上げは赤窓確認式ですのでカウンターは必要ないし、巻き戻し関連の機構も当然ありません。ちなみにこのカメラは3X4ですもんで、フィルムのマークは一旦下の窓で合わせて、撮ったらその番号を上の窓で再び合わせるようにします。

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 シャッターもギロチン型のエバーセット式なものですから、シャッターを切ってボタンを離せばその時点でチャージされ、またいつでも切れるようになります。しかし、他のカメラでは二重写し防止用に多少の工夫をしているものですが、このカメラには皆無。ベンチーニよ君は大胆だ! シャッターボタンもボタンと言うよりかレバーみたいな格好で、この点でも大胆。でも裏側に穴が空いていて、ケーブルレリーズもちゃーんと使えるのはよろしい。ただし、このケーブルレリーズは気合を入れないと押し切れません。なんてったって、このどデカいシャッターボタンと言うかレバーと、シャッターを開閉させる大きな板状のカムを中で直接動かしてしまうのですからね。無茶な設計です。おかげで一応見栄えのいいピストルグリップもアクセサリーで出してはいたものの、引き金にもの凄い力をかけないとシャッターが切れませーん(泣。

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 フィルムの交換はご覧の通り。向かって左側面のつまみを回して、右側面のカバーを外したのが右の画像で、このまま抜き取ってフィルムを交換します。すっきり抜けるだけあって、交換自体は楽ですよ。
 忘れてましたが、53年にもなるとシンクロ接点も備えられるようになって、このアクセサリーシューも含めてフラッシュ撮影が庶民の間でも普通に行われるようになってたことが分かりますねえ。でも、このカメラで上手く写せたのかどうかはナゾではありますが。ちなみに接点は正面のレンズの左斜め上に左向きにぴょこっと出ているやつがそれです。
 このカメラは多分ダースト・ドゥーカを直接参考にしたのは目に見えていますね。でも、127フィルムの恩恵か、中身ははるかに単純に。と言っても、ドゥーカも単純なんですが…。まあ、このコメットさん(IIIだろが〜!)は突発的に現れたモデルで、以後ベンチーニではこのような8ミリカメラ風のデザインを二度と用いてませんが、35ミリでこうしたカメラを作り、そこそこの機能を持たせて売ったらイケたんじゃないかなー、なんて思ったりします。いずれにせよ、格好だけは一見立派ですが、実は「べんちーに」とひらがな書きしたくなってしまうようなお子ちゃまレベルのカメラですね。

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ベンチーニ・コメット / コメットS 55mm f11
Bencini Comet / Comet S 55mm f11

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 ベンチーニでは、それまで後述するロレットが唯一の総金属製ハンドカメラでしたが、1948年にはこのコメットを送り出しました。このコメットから50年代のベンチーニの大きな特徴となるアルミ鋳造一体成型のボディに、テカテカと輝くバフ掛けの表面処理が施されることになりました。デザインは35mmカメラのような雰囲気で、何かそこそこ機能が詰め込まれているのでは?と錯覚しそうですが、ベンチーニお得意の単玉・単速ギロチン・絞り固定と、ある意味王道を行くスペックになってます(笑。
 コメットは127フィルムを使う4x3cmのベスト半裁判で、前部のファインダー窓からも分かるように、普通に構えると縦位置撮影になります。鏡胴には滑り止めのような凹凸が刻んでありますが、ただの装飾ですんで、騙されてここを思いっ切り回しても指が痛くなるだけです(←誰も騙されませんけどね)。実際に回るのはレンズ先端のリングだけで、目測でピント合わせをするようになってます。 CometB-300.jpg
CometC-300.jpg  フィルム巻き上げは127フィルムだけに、当然赤窓式。半裁判ですんで、赤窓が二つ並んでいて、一旦左の窓で「1」が見えたらそこで一枚パチリとやって、右の窓に同じ「1」を再び送ってからまたパチリ。とにかく写したらすぐ巻き上げておくか、逆に触らないでおくか、どちらかに統一しないと、後で「あれ? どっちだったっけ?」となること間違いなしです(←経験者は語る)。
 こちらは上記のコメットさん、いや、IIIより若干早い時期に登場したコメットっす、じゃなくてコメットS。前記コメットに"S"の名の通りシンクロ接点を加えたものなんですが、これがまたちゃちーものでして、これを手に入れて最初に見た時「何かパーツが欠落してるのか?」と勘違いしたほどで、ただ穴の空いた筒が鏡胴前方にぴょっこり出ているだけ。気になって外してみたら中でシャッターと連動する金具がキコキコ動いていました。これに接触させる訳なんですね。
 このシンクロ接点に伴い、軍艦部上面の蓋が2/3ほど切り詰められて、アクセサリーシューが埋め込まれました。銘板の文字が窮屈そうです。
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BenciniCometS2.jpg  鏡胴のヘリコイドリングっぽいのは、上の初期型と同じく「なんちゃって」です。回しちゃダメです。指先が痛くなります。それでシンクロ接点の反対側にある平べったいものはシャッターの切り替えスイッチでして、現時点では1/50秒ですが、ここを引っ張り上げるとバルブになります。シャッターはそのものは言わずと知れたギロチン式のエバーセット。のっぽなシャッターボタンが無言で「オレはエバーセットじゃい!文句あっか!」とニラミを効かせているようです。
 こちらは同じコメットSですが、アクセサリーシューが軍艦部と一体整形になってます。その関係で、軍艦部上面のネームプレートが廃されて、削り込まれたタイプになっています。反面、前面に彫り込まれた「COMET S C.M.F.」の文字は消えて、コロールと同じように滑り止めのローレット加工が施されてます。
 実は絞りやシャッター周りも変更されてまして、固定絞りが少し奥に置かれ、穴もわずかに広がって大きくなってます。シャッターは切った時の音が全く異なり、前者が「チャカッ」と音が出るのに対し、こちらは「コトッ」と言う音が出ます。意外に細かいところまで変更してるんですなぁ。

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 この3代目コメットSもボディはやはり前期モデルと同じくアルミのバフ掛け仕上げで、テカテカ光ります。どれも軍艦部とボディは一体で、これ自体が骨格になります。正面に「COMET S C.M.F」のマークが入っているのが48-50年のモデルで、51年の仕様が洗濯板タイプの方です。ちなみに巻き戻しノブのような形のものは、フィルムスプールを押さえるだけのもので、巻き戻しの必要ない127フィルムですから、当然回すのではなくて摘み上げるだけのものです。
 このカメラもレンズには何の表記もないのですが、『Made in Italy』によると75mmと記載されています。ファインダーを覗いたところ、75mmではちょっと望遠気味になるはずですが、そんなでもないんですよねぇ。同じところでレクタフレックスの50mmレンズで撮ったネガと比較して確認する限り、確かに一回り大きい像を結んでいましたが、REオートトプコール58mmレンズと比べるとそんなでもないっS(←ここでSを使うかぁ〜)。そこで、『Le Fotocamere Bencini』で調べると、どうも55mmレンズのようでした。やっぱりそうですよね〜(^∇^)b
 このカメラはとってもちっちゃくてかわいいカメラですが、せめてf4.5クラスの3枚玉レンズにB.1/20〜1/200秒程度のシャッターが付いて、自動巻き止め機構が備わっていたら、今ではそこそこ高く取り引きされてたかも。なんか惜しい気がするのはワテだけっSか?

C.M.F. ベンチーニ・ロレット プラネタール・アプラナチック 75mm f11
C.M.F. Bencini Rolet Planetar Aplanatic 75mm F11

BenciniRolet1.jpg  一つのボディの型を後々まで使い尽くすベンチーニにしては珍しく、このボディの型を持つモデルはただ一つのタイプしか発売されませんでした。それが46年発売のロレットですが、127フィルムを使う4x6判になります。まあ、構造を言えば、ほら、何しろベンチーニですから、1/30+Bだけの単速ギロチン・シャッターに、f11固定絞りの75mmレンズが埋め込まれた単純カメラです。フィルム巻き上げだって当然赤窓式ですから、スペックを見る限り、そりゃもう「カス」。
 一応、フォーカシングはできますが、それも「近」か「遠」の二つだけのゾーンフォーカスで、何と鏡胴を直接引っぱり出す量によって決めます。一応ボディの内側には「U」字形の溝が二つ切られていて、鏡胴を向かって右にちょこっとだけ回して突起をこの溝のどちらかに落とし込むことでピント合わせは終了。ね?シンプル極まりないでしょ?(笑) BenciniRolet3.jpg
BenciniRolet4.jpg  裏蓋は普通に蝶番式で開きますが、後のコロールやコメットと全く同じく向かって右横の金具の爪を引っ張り上げるだけのもの。それにしても裏から見てもこのスカスカ感。ある意味なかなかのものですよねぇ〜。
 でも、一応立派なところもありまして、よく見ると後ろにもレンズが見えますでしょ。これ、対称形の2枚レンズだったんですよ〜。エッヘン!(←コラコラ、そんなのちっともえらくないっちゅーの!)
 しかしまぁ、この鏡胴の後端部分の作りも凄まじいですね。ただ筒を切って4箇所の突起部分を外に折り曲げてストッパーにしちゃうんですから…。
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BenciniRolet6.jpg  レンズキャップはガンマのものと同じようなデザインですが、これはただ玉のリングの部分が小さくて起伏が浅いことから、シャッター部分まで覆うキャップにしただけのものです。
 ボディの作りで後のモデルと決定的に違う点ですが、ロレットは一体成型のボディではなく、ちゃんと軍艦部と底蓋、エプロン部などが別に取り付けられてます。逆にあのバフがけのテカテカしたアルミの美しさは皆無ですので、メッキが弱いことも相まって、現存する固体は、70年経った今では見た目の美しさを期待することなどほとんどできないでしょうね。

C.M.F. ベンチーニ・レレックス 75mm f11
C.M.F. Bencini Relex 75mm F11

Relex1-300.jpg  46年に上記ロレットがデビューして、ベンチーニの総金属製の小型ロールフィルムカメラの歴史が始まりますが、まだ一般的なカメラと同じく、軍艦部やエプロン部に真鍮をプレスしてメッキしたカバーを使っていました。でも、ベンチーニと言えば骨格も表皮も一体の、アルミ鋳造バフがけテカテカボディが印象に強く残ってますでしょう? あ、残ってないっすか。そりゃ仕方ないとして、とにかくあのテカテカ路線のカメラのルーツになるのがこの49年発売のレレックスと言う127フィルムベスト判(4x6)の後継機からになります。
 厳密には48年に登場したベスト半裁判(4x3)のコメットがアルミ鋳造バフがけボディの走りでしたが、ほぼ同時期にカタログに載った兄弟機種です。この後、51年に後述する120フィルム使用のコロールが登場し、3兄弟が完成かと思いましたら、コロールが6x6判と6x4.5判の切り替え式だったので、レレックスの存在価値が一気に失せてしまい、他の機種ではアクセサリーシューが付く後期モデルが作られたのに、こちらは早々と生産が終了してしまうんですよね〜(ToT)。その後ベンチーニでは127フィルム使用のものは半裁判だけで、ベスト判は作られませんでした。 Relex2-300.jpg
Relex3-300.jpg  スペックはこれと言って言うこともないもんですが、一応書いときます(^∇^)。すなわち、沈胴式でノーネームの75mm単玉F11固定のレンズと、P(バルブ)と1/50秒の単速ギロチンシャッター、目測でのピント合わせ、逆ガリレオ式ファインダー、赤窓式フィルム送りと言うところで、正にベンチーニの定番ですな。
 ベスト判ですが、カメラ本体はコンパクトな35mmカメラ並みに小さくて良いです。それに、シャッターボタン下にはコロールにも使われた斜めに切り込まれた何やらレバーのような形の滑り止めがあって、これが中指の側面に上手い具合に当たってホールディングの手助けをしてくれるんですよ。それにボディも12角形で色々なところに段差を設けていて、見た目に(いや、見た目だけ)とても手の込んだもののようになってるのですが、これは鋳造だからできたことで、ベンチーニの大きな特徴になってます。 Relex4-300.jpg

I.C.A.F. ロビィ
I.C.A.F. Robi

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 何やらえらく古いベークライト製のBoxカメラの登場と言う感じですが、実はこれ、立派な金属製カメラなんですよ。“bencini”のロゴがどこにも見られませんが、まだC.M.F. BenciniがI.C.A.F.と言う社名だった頃に作られたやつでして、超古いカメラなんです。1930年代半ば、F.I.A.M.M.A.と組んで木製の大判カメラを作っていたアントニオ・ベンチーニの旦那は、37年に自分の会社を興したのがI.C.A.F.なんですが、問題はこれが何の略なのか分からんことです(笑。38年にはすぐC.M.F.に変更しますがこっちは「Costruzione Macchine Fotografiche」の略です。で40年まではI.C.A.F.も名前は生き残っていて、どう言う訳か並行して同じようなモデルが売られていました。
 このロビィは120フィルムを用いる6x9判で、同じデザインの6x4.5判のガブリィ(Gabry)と言うのもありました。ちなみにロビィのロゴも「ROBY」となったものもありますが、どうしてそんなところだけ変更したのかはさっぱり分かりません。
 レンズは10.5cm f11のノンコーティング単玉。当然感光面を湾曲させなければ像は歪みまくりますが、それに合わせてボディのデザインもコロンとしていて太鼓みたいになってます。向かって右横のボタンをスライドさせるとロックが外れて中身がスパッと抜けます。

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 シャッターは1/30秒程度の単速ギロチンものですが、バルブは備わっていて、下のレバーを下ろすとバルブになります。上のレバーはシャッターボタンになります。
 ファインダーは上から覗き込む反射式でえらい小さいのに、目を離して見ないといけないので、とっても見辛いんですよね。でもこのファインダー、左に90度傾けることができますので、横位置で撮るのには便利です。そのままですと縦位置の枠になってしまうので、ファインダーは正方形になっていまして、縦横それぞれの切り欠きが付けられてます。後は何も取り立てて言うところのないカメラです。

C.M.F. ベンチーニ・アルゴ アプラナート10.5cm f11
C.M.F. Bencini Argo Aplanat 10.5cm f11

CMFArgo1.jpg  I.C.A.F.からC.M.F.に社名を変更して1年経った1939年、ベンチーニが世に送り出した蛇腹カメラで、フィルムは120を使う6x9判になります。
 このカメラが出た当時は、まだまだ第二次大戦中で、世の中は混乱しまくっていたはずですが、物資が乏しい中でよくもまぁ一般向け大衆機を作っていられたもんです。日本やドイツの光学メーカーの多くが軍需産業に手を突っ込まざるを得なかったさ中、ベンチーニは随分気楽にやっていたのかなぁと思えちゃいますが、やはり部品の調達や販売など、色々な点で大変だったんでしょうね。
 そんなカメラ産業界にとって厳しい時期ですが、さすがはベンチーニ。徹底的に簡略化したカメラでそれを乗り切ってしまうのがある意味スゴい。見てくれはなかなか立派ですが、スペックは「簡易カメラの仙人」(←意味不明)の域に達してます。
 まずはレンズですが、前後対照型の2群2枚構成のアプラナートで、焦点距離は105mmになります。開放絞りと言うより絞りそのものがf11オンリーな訳でして、中に小さな円形の切抜きがあるのみです。もちろんこれがいくつもあって回転して絞りを変えることなどありませんので、それ以上もそれ以下もないんですよ。
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 シャッターも1/30秒(かどうかも怪しい)の単速で、一応「P(バルブ)」も付いてはいます。一枚の絞りより小さな穴の開いた円形の板を回転させてシャッターにしていますが、正面から見て11時の位置にあるレバーを押し下げるとこの円盤が回転して切り欠き部分が中心に来て、もう一枚の遮光板が間髪をおかずに下りてきて、光を止めるようになってます。レバーを戻すとこの遮光板とともにシャッターも元の位置に戻り、終了。
 ピント合せは不要。と言ってももちろんオートフォーカスではないです(←当たり前だっちゅーの)。ただ単に固定焦点なだけなんですが、さすがにf11固定のレンズですので、被写界深度もかなり幅広く、それなりに写ってくれます。
 巻き上げはお決まりの赤窓式。結局使う人がする作業は、@赤窓でフィルム送りをする→A反射式ファインダーで分かるような分からないような構図を決める→B「はい、チーズ」と言ってシャッターレバーを押す、とまぁ、これだけなんですから、最新のデジカメも真っ青な簡単作業なんですな。と言っても、このカメラだけを持って、行ったことのないところへ旅行する勇気は今の人にはないでしょうが(笑。 CMFArgo4.jpg

ベンチーニ・コメット35 ブルースター・アナスチグマット 50mm f4.5
Bencini Comet 35 BLUESTAR ANASTIGMAT 50mm f4.5

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 120または127フィルムを使って天下の単純カメラを作っていたベンチーニも、1954年に生産したこのカメラから35mmカメラに進出しました。この頃は127の末期でしたんで、さすがにベンチーニも「こりゃあかん」状態になったんでしょうね。でも、裏紙があってコマ送りも赤窓でできたそれまでのカメラと違いまして、35mmとなると製作にはそれなりの労力が必要ですが、それでもまあ、せっかくの35mmということもあってか、ベンチーニには珍しくシャッタースピードも絞りも多少選択できるようになってます。
 レンズは1群2枚の単玉か対称形2枚玉しかなかったベンチーニですが、このカメラでは初めて3群3枚のアナスチグマットが奢られました。これだけでもベンチーニの意気込みが結構なもんだったと分かりますね。巻き上げはレバーで120度1回でOK。シャッターは巻上げで連動しているような錯覚を受けますが、そりゃあくまで錯覚で、エバーセットのギロチン式なのは従来通りです。でも、巻き上げないとシャッターが押せないので、セルフコッキングだと騙されちゃいそうです(^∇^)v

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 そのシャッターはP(バルブ)・1/50・1/100秒の3段階だけですが、選べるようになっただけでも大きな向上ですな。
 絞りは開放のf4.5からf16までの5段。「」のような形の枠が重なり合って、その中の四角が狭まるだけの簡単なものですが、何しろ今まではそんなものすらなかったんですから、これまた大変な進歩ですよ。
 ファインダーは逆ガリレオ式で、1/2倍より少し小さめに見えます。55年の後期型ではビューファインダーのレンズを止めるアイピースの枠がなくなり、ボディの中に埋め込まれるようになりました。
 巻き上げは35mmですから自動巻き止めなのは当然ですが、パーフォレーションから歯車を介して送り出し量を感知して巻上げを止めるのではなく、簡易カメラでは定番の太いドラムで一定量だけ巻き上げてしまう安直な形を取ります。ですんで、最初はコマ間隔はほとんどないのに、巻上げがかさむにつれてフィルムの厚みが増して、同じ巻上げ量でも多く巻き上げてしまうので、コマ間隔が後ろでは4mm程度まで広がってしまいます。そのため、36枚フィルムでも34枚までしか撮れないんですよねー。

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 それまでの赤窓式巻上げのベンチーニには不必要だったけれど、このカメラにはカウンターが必要になりましたが、上手い具合に巻き上げノブと連動させています。レバーを回転させると軍艦部内側でカウンターと巻き上げノブがギアでつながっていて、枚数の数字がプリントされた円盤が巻き上げノブとは逆回転して止まります。リセットはその円盤が少し頭を出しているので、直接これを回すだけ。簡単です。
 巻き戻しは巻き上げドラムのロックを解除するために、アクセサリーシューの下に出ている板状のボタンを押せばフリーになります。ここを押し続けながら、巻き戻しノブを回すんですが、ちょいと押し続けるのは面倒なんですよねぇ…。
 コメット35はそれまでのコメットやコロールと同じくアルミ鋳造の一体ボディで、ベンチーニお得意の表面バフがけのテカテカボディ仕上げですが、このボディ構造で35mmカメラの多少なりとも込み入ったメカを盛り込むのはかなり大変なことでしょう。それに、太ドラム巻き上げスプールのために、向かって左側のボディが膨れてしまうのは当然ですが、できるだけそれを抑えるために、とても複雑なカクカク折れ曲がったボディデザインになってます。軍艦部もやたらに凸凹した形状で、プレスのカバーでは100%無理な形になってますね。でも、やっぱ生産コストがかかって、販売価格も当時他のカメラが4-6000リラ程度だったのに、このコメット35は1万リラを軽く超えちゃいまして、思ったより売れなかったのか、55年には生産を終了してしまいました。おかげで今ではほとんど見かけないカメラになりましたが、このカメラがベンチーニの35mmカメラの原点で、ブルースターレンズの最初のモデルでした(ブルースターの名は、ずっと後のコメットNK135でやっと復活します)。

ベンチーニ・コロール35 アクロマティコ 55mm f8
Bencini Koroll 35 Acromatico 55mm f8

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 ベンチーニ初の35mm判カメラ、コメット35を54年に出したものの、従来のボディ構造で多少なりとも精密なメカを盛り込むには生産性の面で無理があったため、より構造を単純化させた35mmカメラを58年に送り出すことになりました。それがこのコロール35です。元々コロールは120フィルムのカメラの名で、コメットが小型の127フィルム使用のカメラ名でしたが、35mm判ではもうそんな分類はどうでも良くなったようで、コメット35IIとか35Bとかにせず、あっさりコロール名を使っちゃいました。
 デザインはミッキーマウスを思い起こすようなもので、レンズシャッターの35mmらしく、縦横比が1:1.5程度のころりんとしたずんぐり形です。しかし、この巻き上げ・巻き戻しノブがでかいこと。ここがミッキーマウスの耳を演出してる訳です(←違う違う)。エプロン部もシャレていて、下にさがるにつれ、狭まってまして、これがミッキーマウスのあごですね(^∇^)。それに、軍艦部下のラインがコメット35のイメージを残していますが、これは別段ラインを引いたものではなくて、鋳造ボディの突起なんですよ。妙なところで手が込んでます。 Koroll35-B300.jpg
Koroll35-C300.jpg  このコロール35も普通の35mmカメラと違い、巻き上げが進んで行ってある程度スプールにフィルムの厚みが加わった時のコマ間のズレを補正する機構など付いてませんので、初めからスプールのリールを太くして、ズレを薄めるようにしてます。ですので、巻き上げのためにノブを回す量も少なくて済みますが、いつまでも均等回転なので、カウンターもノブと直結で良い訳なんですね。単純明快〜。さすがはベンチーニ!
 こちらは60年になってそれまでのベンチーニの象徴とも言うべきアルミのバフ掛けボディを止めて、より手間のかからない銀色塗装を施されたマイナーチェンジ版です。ファインダー横に装飾用の枠が設けられて、一瞬高級化したのかなと思えますが、機構的には全く変わりはありません。ただ、それまで鏡胴の中に埋め込まれていて、少しだけ頭が出ていた絞りとシャッターダイアルが、新型では筒の根元に黒いプラスチックの絞りリングが設けられ、前部に薄い金属リングを組み込み、シャッタースピードを選択するように変更されました。 Koroll35A.jpg
Koroll35B.jpg  背面を見るとほとんど変わりはないですが、唯一、ファインダーの接眼窓枠が円形のものから四角いものになって、横にも多少広げられて見やすくなりました。でも、倍率や見た感じの色合い、鮮明度などは一切変わりがありませんけどね(^∇^)b
 ボディの形状は、コメット35では太い巻き取りドラムで膨らんだボディを少しでも薄く見せようと、かなり複雑な段差を付けて凹ませていますが、コロール35ではその辺を割り切って、初めから分厚いボディデザインにしちゃってます。気にしない気にしない!
 絞りはf8〜f22の4段階。左側は開放のf8で、右側がf22。絞りは一枚板で、開放の円形にYの字くっ付けて横に倒したような切り欠きがあって、それこそf16ではYの字の形が見えちゃいます。f22は細いスリットみたいな感じ。こんなんでちゃんと写るんだから、ある意味立派ですね。

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 レンズはコメット35でせっかく3枚玉を開発したのに、コロール35では他のベンチーニと同様単玉。一応シアンコーティングが施されてます。でもコメットIIIより色は薄いです。誇らしく「ACROMATICO」となってますが、そこが微笑ましいところでもあったりして。焦点合わせは当然目測で、レンズの入った先端のリングを直接回します。
 シャッターはビハインドレンズシャッター。単玉だから当たり前だったりして(笑。もちろんエバーセットのギロチン式です。エバーセットと言っても、ボディの構造上、巻き上げないとシャッターボタンが押せないので、一応セルフコッキングもどきにはなります。シャッタースピードはB.1/50秒〜1/150秒の4速。コメット35より1段多く1/150秒が加えられてますが、これは考えてみるとすごいかも。回転式ギロチンシャッターの限界は何分の1までなんでしょうかね?
 ファインダーは前から見ると金色に反射した大きなもので、ふとアルバダ式かと錯覚しちゃいますが、ただの反射防止のコーティングが施された透過式で、逆ガリレオ型にもなっていません。

ベンチーニ・コロール / コロールS 105mm f11
Bencini Koroll / Koroll S 105mm f11

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 べんちーに組の大親分、コロールの旦那の登場です。さすがに120フィルムを使うので、上記の127または135を使うモデルとは一回り大きく、それはもうご立派なお姿です。でも横幅は35mmフォーカルプレーン機と同じようなものかな。知らない人が触れば、中判とは気付かないでしょう。実は親分にしてはコンパクトなカメラと言うことです(笑)。
 一目見ると、なかなか複雑そうなデザインではありますが、騙されてはいけません。何しろ“べんちーに”ですから。はっきり言って、何も付いていません。
 コロールの発売年は51年です。それまでRolet、Relex、Cometなどの127フィルムを使った金属カメラを作っていたベンチーニが、51年にこの120フィルムを使った6x6判のコロールを発表し、翌52年に下のシンクロ接点を備えたコロールSを売り出すことになる訳なんですよ。この後シリーズは続くかと思いきや、6X6判の120カメラはあっさり終了。後の120フィルム使用のモデルは、フィルムの上下を大幅に無駄使いした6X3ならぬ4.5X3のサイズになってしまいました。

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 このカメラは105mm F11の単玉レンズを備え、シャッターは1/50秒とバルブの2つだけ。何やら軍艦部にノブが二つ、底にも二つ付いているんですが、これは向かって左の巻上げノブ以外、全てスプールを外すための軸を引っ張り上げるだけのものですんで、大したものではないです。巻上げノブのところも引っ張り上げれば軸が上がるだけなのはコメット等と同じです。ちなみに、裏蓋は向かって右横下にあるレバーを下げれば、蝶番で開くようになっていますので、この点なかなか使い勝手は良いですよ。
 こちらの画像はコロールS型で、レンズの横にシンクロ接点が出ています。その関係でアクセサリーシューも付けられましたが、それ以外は上の初期のコロールとちっとも変わらないように見えます。でも、ここで目を皿のようにして見ると、巻き上げノブの高さが違いますでしょ? 実は高さそのものは変わらず、初期のコロールのノブのローレットの下のくびれがキツイので、首が細くなって背が高く見えるんですよ。しかし!何でこんなところを変更したのかはさっぱり分かりませんです、はい。
 両方ともファインダーを良く見ると、左右に変な出っ張りがありますが、実はこのカメラ、6x6と6x4.5に切り替えができるんですね。で、その645として使う時のファインダーの横位置の縁が突起の先端部な訳。でも、カメラ自体に切替機構は付いていないですから、専用のマスクをフィルムを挿入する前に中にはめ込んでおかねばならないんですが、そのマスクが今中古で買うとほとんどの場合付いていないんです。まあ、ただ非常に単純な形状だから、自作できますがね。背面に赤窓を切り替えられる回転盤が付いているのはそのためだったんです。
 それにしても、6x6で単玉ですから、沈胴量も多いですが、レンズを引き出しても前に傾かないように、マウント部の下に支えの出っ張りを設けているのは「気が利いてんじゃん」と言ってやりたいところですね。ま、そんなところに気を配るより、シャッター速度か絞りを増やして欲しかったですがね。

ベンチーニ・コロール24S
Bencini Koroll 24 S

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 50年代後半までベンチーニは120フィルム使用のモデルにコロール、127フィルムのモデルにコメット名を用いてましたので、一応統制がとれてました。このコロール24Sと言うモデルも54年のコロール24にシンクロを加えた“S”モデルで、55年の発売となってます。“24”と言うのは120フィルムで撮れる枚数を示し、6X6で12枚ですから6x3と言うことになりますね。でも、セミ判よりかなり細長くなる長方形の枠はやっぱまずかったんでしょう。上下を少し潰し120なのに4.5X3と言う変なサイズにしてごまかしてますが、そんなら127を使えばいいのにね。
 と言っても127では24枚撮りにはできませんから、一応その存在価値はあるのかな。それにしても1.5cmもフィルムの上下を無駄にするなんてねぇ。
 ボディはお得意のアルミバフ掛けテカテカ仕様。レンズも60mmの単玉ですが、一応シアンコーティングされてます。開放はf9ですが、下にf16に切り替える円盤が頭を出してます。絞りの形は上記コロール35と同じような形。

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 それにしてもベンチーニは洗濯板状のローレットがお好きで、こいつには軍艦部前面だけでなくナゼか上面にも刻まれています。何をやってもあそこに人差し指を置いておくのは無理がありますが、縦に構えても全く滑り止めとしての価値はないようです。となるとやはりデザインなのかなぁ。でも他のモデルにはなかったし、訳分かりません。そのくせして巻き上げ軸側でない方のフィルムを納めるスペースには、それまでの各機種にあった軸を固定するノブが省略されてます。フィルムのサイズも含めて、やっぱり何考えてるのかナゾのカメラです(笑)。

ベンチーニ・コメータ 55mm f8
Bencini Cometa 55mm f8

Cometa1-300.jpg  ベンチーニでは48年デビューのコメットからベスト半截判の小さなフォーマットのカメラに“Comet”の名を付けていましたが、55年のコメット35にもその流れで“Comet”名を与えていました。ここまでは良いのですが、その35mmカメラをフルモデルチェンジした58年のモデルからは、本来120フィルムを用いるベンチーニの中では大きい方のカメラの名前である“Koroll”の名を付けてしまい、もうここからフィルムサイズによる名前の使い分けと言う、本来維持してきていた流れがすっかり崩れてしまいました。この辺がベンチーニらしいところですが、まだまだ127フィルムのカメラは継続していまして、コメットSの後期型はずっと併売されていました。
 ベンチーニと言えば初代コメットやレレックスから始まる、アルミ鋳造の一体成型バフ掛けボディが特徴で、50年代後半までその製法にこだわっていましたが、やはり35mmカメラを作るようになってそんな作り方ではそもそも組み立てがかえって難しくなるし、バフ掛けの手間も大変なことなので、いよいよ60年頃からは皆バフ掛けから銀色ないしグレー塗装を施して各モデルをマイナーチェンジしていきました。上記のコロール24Sが下記のコロールIIIに変更されたのが良い例ですが、同一ボディでも、コロール35のように部分的にデザインを変更しつつ、塗装仕上げのボディに移行させていました。 Cometa3-300.jpg
Cometa4-300.jpg  さて、そんな中、127フィルム使用の「コメットの本流」とも言うべき新しいモデルがデビューしました。それがこのコメータで、コメットSと同じ4x3のベスト半截判のカメラになります。しかし、かつてのコメットのボディとは全く異なるもので、完全に新設計です。アルミ鋳造の本体は大変コンパクトで、この点で初代コメットと変わりませんが、ファインダーが逆ガリレオ式からただの平板ガラスの透過ファインダーで、当然等倍になりますから、必然的にファインダーが大きくなりまして、それに合わせて強引に軍艦部正面を装飾しています。何かまるでセレン光式露出計の集光板が埋め込まれたような造形が微笑ましいですね(笑。
 そのファインダーは正面から見ると金色に蒸着コーティングが施されてますが、ファインダーを覗いても、フレームも何も見えず、それがアルバダ式でも何でもないことが分かります。まぁ、ただの素ガラスでは光の角度によっては反射した像で見にくくなるので、それを軽減するためにコーティングしたんでしょうが、何と言ってもそこはベンチーニ、分かりませんよ〜、ただの見てくれのためだけにやったのかも(笑。 Cometa5-300.jpg
Cometa6-300.jpg  レンズは初代コメットから変わらぬ55mmレンズですが、一応開放状態でf8の絞りになる円形のくり抜きがあって、鏡胴上部の爪をずらすと細長いスリットのくり抜きのあるコの字のようになった板が出てきて円形のくり抜きの上下を覆い、f16として使えるようになりました。
 シャッターもただのエバーセットのギロチン式リーフシャッターですが、バネの張力を変えて1/50秒の他に1/100秒も使えるようになっています。この辺はコメット35と同じ工夫が施されているので、ちょっと高級になったと言えましょう。
 このカメラのもう一つ大きな特徴がありまして、アルミ製のボディに対し鉄製プレス成型の裏蓋がそっくり外れるのですが、その外し方が不思議でして、2段目の画像のファインダーアイピースの飾りリングが開閉ノブになってるんです。すなわち、これがネジになっていて、これを回すことで本体側のファインダーブロックに切られたネジからフリーになり、リングに押さえつけられていた裏蓋が取れると言う訳です。簡単に言えば、良く使っている一眼レフカメラのファインダーアイピースのリングを回して外すと、軍艦部後部から裏蓋にかけてごっそり外れてしまう姿を想像してみて下さい(^∇^)b
 それに、この裏蓋を外すと分かりますが、コメータにはプラスチックの圧板が付いているんですが、ここがそれまでのコメットと違ってしっかり感光面をわずかに湾曲させて単玉レンズの歪みを補正しているんですよ。縦に細い4x3判ではそこまでしなくてもそこそこ周辺部は崩れずに済みますが、もちろんできる範囲でしっかり作ってもらえると良いことは間違いないです。
 コメータのもう一つの面白い点ですが、ベンチーニは後のコメットNK135等の70年代35mmカメラでプラスチック製のハードケースを専用に作っていましたが、そのルーツはこのコメータのケースからになります。一見革に見えるように茶色になってますが、底も上部もハードプラスチックで、ストラップも同じ色の塩ビ製のものになりました。ケース底蓋側には中央部分にカメラ固定用のノブがありますが、その左右には穴が開いていて、カメラの底に付いている巻き上げノブと反対側のアクセサリーシューに干渉しないようになっています。
 このコメータは、せっかく新たな設計で出てきた機種なのですが、60年代にはより安直に作れるインスタマチックフィルムを使う126カメラに移行してしまうため、このカメラで127カメラは終了してしまいました。コメットの亜流のような存在のカメラですが、時代はもう35mmやラピッド、インスタマチックですから、ベスト半截判カメラの存在意義はほとんどなくなってしまいましたね。

ベンチーニ・コロールIII アクロマティコ55mm f8
Bencini Koroll III Acromatico 55mm f8

KorollIII1.jpg  1954年に120フィルム使用の4.5X3cm判のコロール24が登場し、最大で縦6cmまで使えるはずのものを24枚撮りにして、縦横比を調えるために縦を4.5cmにしてしまったもったいない作りの最終版。このコロールIIIはコロールII型の初期モデルのファインダーを拡大したIIb型、それをアルバダ式ファインダーとしたIIcへと僅かに発展し、名前を変更して64年に出たものなんです。はっきり言ってIIcと中身は全く変わらず、銘板だけがIIIとなったに過ぎないんですよ。
 その証拠に、裏蓋を外すとそこにKOROLL II Made in Italyの文字が浮き出ていて、何も変わっていないことの証明になります。そのIIbはこのモデルのようなファインダー横の洗濯板みたいな飾りがちょっと異なり、セレン光電池の集光レンズ状の細かいブロック形のプラスチック板が付いていましたが、これは間延びした面構えを隠すだけが目的の装飾品で、はっきり言って無駄以外何ものでもありません。それに比べるとIIcとこのIII型はちょっとスマートなデザインですが、ここはやはり無駄そのものです。 KorollIII3.jpg
KorollIII2.jpg  レンズはアクロマティコ55mmとなってますが、何てことはない1群2枚構成の単玉。シアンコーティングが施されているのが多少の進歩のようです。絞りは、上下をのこぎり歯状に切り欠いて先細りさせた形の板を縦横に重ね、f8・f11・f16・f22の四段階でそれぞれの板の切り欠きが細い方になるようになってます。後のコメット235でもこの作戦が使われていましたね。
 シャッターはB.30.60.125となって、かなりの向上が見られますが、上記コロール35と基本的に同じ機構ですね。
 裏蓋の開閉はボディ両端のストッパーを下にスライドさせればOK。巻き上げが赤窓式のままなのは仕方ないですが、上下にかなりのゆとりがある狭い感光面と圧板のおかげで、フィルムの平面性は相当良さそうです。でも、単玉ゆえに周辺部の歪みが出てきますが、これもフィルムをフルに使ってないので、あまりひどくは表れません。ある意味とても巧妙な作戦ですが、まあ、固定焦点式&ギロチンシャッターの簡易カメラであることは間違いないです。 KorollIII4.jpg

ベンチーニ・ミニコメット
Bencini Minicomet

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 うわぁ、またまた出ちゃいましたよ。天下の単純写真機の真骨頂此処に有りと、せめてコメントだけはめんどっちい漢字を使ってやりたいところですが、いやあ、ここまで完璧にやってくれると「ま、参った! 参りましたぁ!」とひれ伏すしかないでしょう。
 とまあ、ちょっと大袈裟に書いてみましたが、マジでこれは例の「サバ缶」カメラといい勝負です(Fototecnicaのページ参照)。いや、このカメラが生産されていたのは1967年ですから、考え方によってはこちらの方がはるかにキョーレツなのかも知れません。しかしまあ、Bencini S.p.A.って、ホントにやることが大胆です。その姿勢はどうであれ、とにかく一貫していますんで、これはこれである意味すごいことだと思いますね。徹底的に素うどんを作っている料理屋みたいなもんですから。
 このカメラも焦点距離とかシャッタースピードとかは不明。元箱・説明書・保証書まで付いて来たんですが、そこにも何も書いてないんですよね。まあ、画面サイズが127フィルムを使った3x4なので、おそらくは60mm程度の単玉レンズと、1/50秒くらいのギロチンシャッターと言えましょう。ちなみにこれは完全な単速で、バルブシャッターも付いていません。気合入ってるでしょ?

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 フィルムの装填はごくありふれたものですが、ボディが何から何までプラスチックなもんで、裏蓋をスライドさせて引き抜く時に、引っかかっているファインダー枠の上部のツメが折れてしまうのではないかと不安に脅えさせてくれます。ベンチーニにしては珍しくアルミを使ってないですが、別の意味でひゃっこいですな(笑)。

ベンチーニ・コメット404-X / ブーツ・コメット404-X
Bencini Comet 404-X / Boots Comet 404-X

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 「あっ、コダック・インスタマチックじゃん!」と言ったあなた、ノンノノン。ベンチーニもしっかりと126判を作ってたんですよ。ここでご紹介するコメット404-Xはベンチーニのインスタマチックの中では半ば頃のモデルですが、66年から70年までのたった5年間で、すごくたくさんのモデルを作っていましたが、名前ばかりが異なるだけで、中身はほとんど同じものも多かったんですがね(^∇^)
 コダックのインスタマチック構想が表に出て、ベンチーニとしては「おお!これこそ我が社にドンピシャな機構!」とヨダレものでしたでしょうが、何しろイタリア国内でフィルムを作ってくれないとどうしようもないので、フェラーニアの動向をにらんでたんですね。
 で、フェラーニアが126フィルムを生産し始めたのが64年ですから、それを見てベンチーニが66年に世に送り出したのがユニマチック(Unimatic)800と言うモデルっす。イタリア語風にはUniは「ウニ」となりますが、これは元々英語風の命名なので、やっぱ「ユニ」と読むべきみたい。で、色々なモデルを出した後、姉妹機の角ばったユニマチック400を出し、それが70年頃にこのコメット404-Xになるんです。

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 404-Xは上の画像のようにセットで売られたんですが、まぁ、セットと言ってもフラッシュキューブ一個とケース、ストラップだけのものなんですがね。
 作りは別に何てこともありません。コダックのものとちっとも変わらないABS樹脂製で、シンプルそのもの。デザインも四角と円だけの、実に素っ気ないものなんですが、でかいシャッターボタンの「b」のマークがいい感じです。
 説明書が付いているのに、スペックは一切書いてなくて、シャッタースピードや絞りはさっぱり分かりません。レンズも固定焦点ですが、ヘリコイドリングのように見えるのは絞りリングで、曇り・雲/太陽・お日様の3段階(←結局絞りはいくつなんじゃー!)。シャッターはバルブすらない単速ギロチン式。一応巻き上げないとボタンはロックされるようにはなってます。それにしても単純だよなー。

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Boots404X-300.jpg  こちらは全く同じボディをプリントだけ変更して銘柄違いにしたものです。Bootsと言うのはイギリスの販売商社とのことで、現在中古で入手できるコメット404-Xは本家のベンチーニ名よりもこのブーツ名のものの方が断然多いんですよ。イタリア国内よりもイギリスでの方が良く売れたんでしょう。イギリスでコダックより安価だったはずですから、ちょっとした使い捨てカメラ的に気軽に使えるのが受けていたのかも知れませんね。

ベンチーニ・コメット800XL
Bencini Comet 800XL

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 こちらは68年に登場した"XL"のシリーズ。ただの"X"シリーズも含めて、コメット226/326・200/400・455/555・600/800など、色んな機種がありまして、「こんなシンプルなカメラで一体どこをどうやってバリエーションを設けてるんじゃい!」と思えちゃいますでしょ? 実はただの"X"はダイアル巻上げ、"XL"はレバー巻き上げになってます。で、600/800などの違いはレンズの明るさによるようで、各グループで番号が大きいモデルにf9、小さい方にf11のレンズが付けられてました。
 で、機構的にはほとんど上記404-Xと変わりがないんですが、レバー巻き上げになったところが最もはっきりした違いと言えましょう。このレバーでは一回とちょっとで一コマ送られる感じで、最後にちょっとゴリッとした感触があり、これがスタンバイ状態を知らせてくれます。
 前面のプレートも404系とは異なり、角が丸まったものになってますが、これは簡単に交換できるものですから、いくらでもバリエーションが作られる訳です(笑)。

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 裏蓋を開く時は側面のしょぼいボタンを押せばOK。良く見ると実は裏蓋も404とは違い、レバーの納まる部分が軍艦部(と呼べるのか?)にありますんで、裏蓋の背は低いものになってますでしょ? 「んなこと言っても、そんなのどうでもいいじゃん!」ですって? 「ええ、そうですとも。けど、そんなのベンチーニの勝手でしょ!」と逆切れされちゃいそうなほど他の機種との差はないんですねぇ。

ベンチーニ・コメット・ディスカバー2000M
Bencini Comet Discover 2000M

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 さーて、またまた同じようなインスタマチックカメラのご登場ですが、こちらは上記コメット800系の最終バージョンとも言うべきモデルです。いやいや、このカメラをもってベンチーニは事実上終了〜となりますから、ある意味歴史的なモデルだったりして(笑)。並行するようにパーソナル・レポーターと言うモデルも出たようですが、70年代末〜80年頃のベンチーニは悲しいものがありましたね。このレベルのものなら、今では100円ショップに出そうな感じですもんねぇ。
 で、見るからにコメット800XLと同じボディのようですが、実際同じです。あちらは68年デビューですから、ベンチーニはこの単純ボディを延々と10年間も利用していたことになりますが、それで商売が成り立ったのですから、これまたスゴい話です。とにかく、ネームと色以外に異なるところは皆無ですからねぇ。ちなみに「COMET」名がボディにはプリントされていませんが、元箱や説明書にはちゃんと明記されてます。

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 売られていたのはこんな感じのキットでした。透明プラスチックのケースが値段の20%くらいを占めていそうですが、もっと機構的に立派な35mm判のプラモデルカメラが980円で売っている今ですと、このキットでは126フィルムが最も値が張るのは間違いなしですね。“ディスカバー2000”と言う名ですが、126フィルムが21世紀に入ったとたんに生産中止ですから、このカメラのネーミングを考えた社員は、ご健在だったとしたら、デジタル全盛の今をどう言う思いで見つめていることでしょうしょうかねぇ〜。

ベンチーニ・コメットNK135 カラー・ブルースター50mm f2.8
Bencini Comet NK135 Color Bluestar 50mm f2.8

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 「チープなカメラをいかにして立派に見せるか」これぞベンチーニが追い求めてきた永遠のスローガン…、かどうかは分かりませんが、70年代に入るとさすがにあまりにも安っぽいカメラではファミリーカメラにもなりませんから、ベンチーニでも多少しっかりしたカメラを作らざるを得なくなってきます。そこで彼らが頑張って作っちゃったのがコメット新シリーズで、70年にまずK35と言う単玉付きモデルが出ました。
 そのK35をスペックアップしたのがこちらのNK135で、シャッターはしっかりしたレンズシャッターを持ち、B.1/30〜1/250秒までの5段階。スローがないですが、これでもベンチーニではウソみたいなスペックです。絞りもなーんと6枚羽!(←そんな驚くことかいっ!)f2.8〜f22まで7段階も変更できるんですよ。そのレンズもトリオタータイプの3枚玉ですから、ベンチーニの意気込みが分かるでしょ。と言っても、70年代に入ってもまだ露出計はなく、未だに目測・マニュアル露出のままですが、考えてみると70年代のファミリーカメラでフルマニュアルって、珍しいですよね。

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 レンズのヘリコイドは前玉を直接回転させるもの。レンズ名はカラー・ブルースター50mm f2.8となってますが、コーティングはアンバーで、ちーっともブルーではないんですよ(笑)。反対にファインダーはアルバダ式で真っ青なコーティングになってます。
 シャッターダイアルは向かって右で、反対側の同じような大きさの黒い丸はシャッターボタンになります。左右対称にしたかったのでしょうね。ちなみに下のメッキされた円はレリーズ穴。ナゼか分けてます。ヘリコイドの下の丸いボタンのようなものはただの支柱。その横のレバーはシンクロのM/X切り替え用で、右に接点がポチッと出ています。底蓋の小さなボタンは巻き戻しボタンですが、これはただの棒の頭がちょっと出ただけの味気なさ。
 60年代半ばには金属カメラを捨てたようなベンチーニですが、このカメラでは軍艦部に金属を用いてます。でもボディや鏡胴・ヘリコイドなどは皆プラスチック。日本製のカメラとは発想が逆でしょ。そこが「少しでも立派に見せたるぞー!」と言うベンチーニ主義全開と言う感じで、とっても微笑ましいんですけどね。一眼レフのような軍艦部の突起だって全然不必要なものですしね(^∇^)b

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ベンチーニ・コメット 235 アクロマチック55mm f8
Bencini Comet 235 Acromatic 55mm f8

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 こちらはK35-NK135系のなんちゃって一眼レフ風デザインとは異なり、より廉価な仕様で登場したプラスチック製軍艦部のコメット36の名前を変更したコメット235です。コメットK35に対してコメット36、NK135に対して235と言う訳です。
 NK135がただでさえシンプルなカメラなのに、廉価版にするにあたってこれをどうシンプルにするのか悩むところですが、とにかくNK135の簡易バージョンになります。
 まずは肝心要のレンズがせっかくの3枚玉ブルースターから、再び一群二枚の単玉アクロマチック55mm f8に逆戻り。でもこちらの方がコーティングはブルーです(笑)。
 シャッターは2枚羽のギロチンくん。でも一応B.1/30〜1/125秒までの4段階に変更可。絞りも線がギザギザの二等辺三角形(←成り立たんだろー)の切り欠きが縦横に重なっていて、絞り込むにつれて両方が細い方にスライドして穴を狭めるんです。その絞りはf8からf22までの4段階ですから、意外にシャッタースピードとの組み合わせで幅広い露出が可能なんですね。
 軍艦部もせっかくの金属の重厚な感じからプラスチックに格下げ。ファインダーのシアンコーティング&ブライトフレームもなくなり、ただの逆ガリレオ式に。

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 でも、唯一NK135より進歩した部分もあり、ホットシューがバッチリ装備されてます(えっへん)。
 その他はNK135と別段変わりはありませんが、どう言う訳か底部のフィルム巻き戻しボタンがただの金属の棒の頭が突き出ただけのNK135と異なり、緑色のプラスチックの突起が頭を出しています。何でこんなところを変更したのか分かりませんが、まあ、色が付いていた方が華やかで良いかも知れませんねぇ。でも、押しっ放しにしていないとすぐボタンが戻ってしまって、フィルムを巻き戻せないのはえらく面倒なまま。こちらを変更してもらいたいもんです。

ベンチーニ・コメット335ブルースター カラー・ブルースター50mm f2.8
Bencini Comet 335 Bluestar Color Bluestar 50mm f2.8

 こちらはコメット235のスペックをアップしたコメット335ブルースター。その名の通り、カラー・ブルースター50mm f2.8レンズを使い、絞りも6枚羽で立派なものになりました。
 シャッターはB.1/30〜1/250秒の5速。3枚羽の本格的なレンズシャッターがビハインドで設置されています。ビハインドと言うよりも、レンズ鏡胴がプラスチックだから、レンズシャッターが組み込めず、その機構をボディ側に収めたと言うのが正しいところ。ん?待てよ、それならNK135と同じじゃん…。
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Comet335B.jpg  そう、その通り。軍艦部がプラスチックのコメット225と同じなだけで、中身はNK135と全く同じです。ベンチーニではこれにコロール36のシリーズでも簡易版と高級版を作り、中身が同じなのに名前を変えて随分とシリーズを引っ張ったと言うか、膨らませたんですが、チープなことだけは永遠のテーマとでも言いましょうか、この点どのシリーズも一切変わりません。

ベンチーニ・コメットNK135エレクトロニック カラー・ブルースター50mm f2.8
Bencini Comet NK135 Electronic Color Bluestar 50mm f2.8

 70年から始まるこの35mmシリーズの集大成が75年発売のNK135エレクトロニクスです。73年になると、NK135にセレン光式の露出計内蔵機のSEMIAUTOMATICA(セミアウトマティカ)を発表するものの、73年にもなってセレ二ウム電池ではどうかと言うことで、プロトタイプのままお蔵入りになりました。当然CdS露出計のよりハイスペックなものを製作していた訳で、翌74年にはようやくベンチーニ初の露出計内蔵カメラが完成しました。しかも、最初から露出計連動機ではなく自動露出のAE機になりましたが、裏を返せばここまでよくぞここまでフルマニュアル機ばかりを作ってきたもんだと言うことになります(笑)。 CometNK135Electronic1-300.jpg
CometNK135Electronic2-300.jpg  NK135エレクトロニックはSR44電池を2個底蓋にある電池室に収めますが、キャップに「1.35-1.4-1.5V 2 BATTERIES」と刻まれていまして、アルカリのLR44でも全く問題がないので、水銀電池のなくなった現代では助かります。
 軍艦部上部にダイアルが埋め込まれ、ASA感度の設定をここで行ないます。鏡胴側の絞りリングにはf2.8-f22まで7段階プリントされているのはNK135と同じですが、シャッターダイアルには「AUTO FLASH B」の3つしかプリントされていません。しかし、この3つ以外の位置でもクリックがあって、ちゃんと止まります。多分マニュアルのNK135のパーツをそのまま使ってるんでしょう。
 自動露出は絞り優先で、ピントと絞りを決定したら、向かってレンズの右下にある緑のボタンを押して、露出計のスイッチを入れます。光量が範囲内であればファインダー内にある緑のランプが点き、外れる場合は画像のように赤ランプが点灯するようになっています。
 NK135はまだホットシューが付けられていませんでしたが、このエレクトロニックにはしっかり備えられています。その他の仕様はNK135と共通になります。
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 CdS露出計のAEカメラは、この他に235系の軍艦部を用いた「COMET 435 ELECTRONIC」が同年に発売されましたが、235と335には初めから軍艦部上面にASA感度ダイアルを埋め込む予定のようなコブがありました。435になって初めてここにダイアルが埋め込まれましたが、前もって露出計の組み込みを考えていたのでしょうね。
 さて、このように70年代のコメットシリーズのボディは、基本設計が全く同じものなんですが、上位モデルから廉価版を比べてみると、よくもまあこんなにスペックダウンできたもんだと、逆に感心しちゃいますね。さすがにレンズ・スペックの差は著しいので、周辺部の写りなどで違いははっきりしますが、結構単玉の235も良く写るので、これまた感心しちゃいます。でも、70年代にこのスペックですから、さすがに売れなかったでしょうねー。この後、よりコンパクトなコメット535/635シリーズを出した後、80年のコメット・パーソナル・レポーターと言うハーフ判のモデルを発売してベンチーニの命脈はついに尽きてしまいましたが、最早何をしても日本製の高性能で安価なファミリーカメラには太刀打ちできない状況でしたから、残念ながら仕方ないことでした。
 なお、これらのシリーズとは別に、少し大柄で軍艦部が平らなデザインのコロール36と言う系列もありましたが、これはベンチーニ名ではプロトタイプのまま発売されず、同じミラノにあった卸商社のConsorzio Italiano Distributori Articoli FotograficiからCIDAF 0018(マニュアル機) / Electronic 36(絞り優先AE)と名を変えて発売されました。

ベンチーニ・コメット535  コリマー38mm f4
Bencini Comet 535 Korimar 50mm f4

Comet535a-300.jpg  60年代後半から構造的に単純で生産性の良い126インスタマチックフィルム用カメラや110カメラばかりを作ってきたベンチーニですが、70年代に入って前記NK135や235等で35mmカメラに再び着手しました。ただ、もうこの頃は世界中に安価なのに精密な日本製のファミリーカメラが広まっていて、イタリア国内でもベンチーニの生きる道はとにかく生産コストを下げた簡易構造でありながら、最低限のスペックを持った35mmカメラをとにかく安く売るしかなかった状況になっていました。そんな中の78年に登場した可愛らしい35ミリカメラがこのコメット535です。
 コメット535は上級モデルのCdS露出計が埋め込まれた635ELECTRONICと共通のボディを持っていて、それまでのコメットNK135や235のシリーズとは別のものでした。そのサイズは24x36にしては圧倒的に小さくて、横幅で10cm丁度、高さも7.3cmしかありません。正にコンデジ並みの大きさですが、立派なフルサイズなんですよ。
 レンズは3群3枚のコリマー38mm f4で、絞りはf22までの6段階の「」形2枚羽タイプで、NK135の6枚羽からコメット35のタイプに退化しちゃいました〜。
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Comet535c-300.jpg  シャッターは3枚羽のしっかりしたレンズシャッターで、エバーセットではなく巻き上げ時にパーフォレーションのスプロケットの歯の回転に連動してチャージされるようになってます。しかし、残念無念なことに、シャッタースピードは単速固定で、表記がないのではっきりは分からないのですが、時代的にみてASA100のフィルムが普通になってきたことから考えて、1/125秒かと…(←超いい加減^o^)。 
 その他の目立った機構では、ホットシューがやっと組み込まれた点が挙げられますが、もう78年だから当たり前なことなんですよね〜。裏蓋は蝶番ではなくて下に抜き取る方式です。圧板はボディ側にあって、これは蝶番で閉じるようになってます。ファインダーはアルバダ式の逆ガリレオ型。コメットNK135で初めて使われましたが、なぜか青いコーティングで非常に見づらいものだったものを、この535では一般的な金色のコーティングで、くっきり見えるようになりました。アルバダ式は日独では50年代に普通に使われていたものですが、ベンチーニでは70年代になってやっと採用されたことになります。
 このコメット535/635を送り出したの後、同じボディを使ったハーフ判のパーソナルレポーターを80年に出してすぐに、ベンチーニの命脈は尽きてしまいます。でも、最後まで安価な簡易カメラを作り続けて生き長らえたイタリアンカメラの雄、ベンチーニのカメラに対するこだわりは、賞賛に値すると思いますね。

ベンチーニ・コメット8 ブルースター12.5mm F1.9
Bencini Comet 8 Bluestar 12.5mm F1.9

BenciniComet8.jpg

 突如68年にベンチーニが発売した8ミリカメラで、当時のベンチーニが好んで使った「コメット」と「ブルースター」の名を本体とレンズに付けてます。でも、かつて「コメットIII」があった訳ですから、「コメット8」では素っ気ない気もしないでもないですが、実は絞りリング辺りにレバーが付いた色違いのモデルで「Lotus」と言うモデルも同年に出ています。
 外観からも分かりますが、カメラそのものはコダックのものを模しただけの、ゼンマイ巻き上げ・完全機械式です。デザインを少々変更してちょっとおしゃれにした感じのカメラですね。取り外せるグリップがまたいい感じ。でもギシギシいいてまして、チャチいのはベンチーニの伝統ですな。
 形式は当時ヨーロッパで根強く使われていたダブル8。スタンダード8とか色々呼ばれますが、カセットに入っていない生の16mm幅のものを挿入して片側だけ写し、使い終わったらそれを反転させてもう片方を写す訳です。期限が大昔に切れた生フィルムがあったので、試しに挿入してみましたら、これが意外と長く写せるんですね。フィルムをセットした時点で、そのスプールにフィルムの厚みの度合いを感知するテンショナーが当たり、その位置でボディ側面のフィルム残量窓に出る赤いラインを動かします。

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 フィルム装填は側面のノブを回して横蓋をすっぽり外して行います。複雑に曲げなければならないので、意外に面倒ですが、良く見ると巻き取り側と送り出し側のスプールの軸穴の歯数が3つと4つで異なり、反転させる際に間違いをなくす工夫がダブル8には備わってるんですね。でも、日中でのフィルム交換は感光しちゃうんじゃないかなぁ。
 レンズはベンチーニにしては立派ですが、焦点合わせはできません。絞りはf1.9からf22まであって、完全に自分で考えて選択しないといけませんが、そのための露出表が後ろの底面に貼り付けられています。ASA25が基本のようですが、ASA50で晴れた日はf22になっちゃいますから、それからするとシャッタースピードは1/60秒くらいなんでしょうか。説明書にも記載がないので、はっきりしたことは分かりません。コマ送りの速度は秒間7コマのようです。
 シャッターボタンはレンズ下の黒い板状のレバーですが、グリップ側とは何の連携もないんです。でも、位置が絶妙で、グリップを握れば自然に人差し指がここに当たりますんで、上手に作られていることは間違いなし。
 背面は右の通り。何とも素っ気ないですが、ファインダー穴から見える像はえらく小さく、しかもかなり遠くに見えます。実際離れたところに対物レンズがありますから、周囲の黒い部分がやたら広く感じちゃうんですよねぇ。でもまあ、シンプルなのは実に結構。ベンチーニ度満点です。

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FOTOCAMERE BENCINI (Italian web -site of Bencini cameras)

Fotocamere Italiane -INDEX-