FOTOCAMERE ITALIANE-Durst

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ダースト・アウトマティカ シュナイダー・ダースト・ラジオナー 45mm f2.8
DURST AUTOMATICA Schneider Durst Radionar 45mm f2.8

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 1946年のDucaで35mmカメラメーカーの一員になった、引伸ばし機メーカーとして有名なダーストですが、さすがに単純この上ないDucaでは本格的なカメラメーカーとはとても言えません。でも引伸ばし機ではその名は通ってます。で、ここはいっちょ気合を入れてという具合に、てゆーか、思い出したように61年に突発的に作ったのがこのアウトマティカです。
 スペックは何の変哲もないセレン光式自動露出のレンズシャッター機でして、寂しいかな距離計は付いてないんです。これだけを見ると「どうぞ適当にそちらでやっといて下さい」と言われちゃいそうですが、いじくってみるとなかなかオモロイものが色々見られますよ。でも、どれもが「何でこんなところを?」という感じ。
 で、まずはボディですが、とにかくモーレツにでっけーです。スペックはコンパクトカメラなのですが、ガタイは大型一眼レフ並。マジでトプコンREスーパー並です。おっと考えてみると四角いボディに前面シャッターと言うのも共通するな〜。こちらの方が発売年は早いから、はっ! さてはREスーパーはこのカメラを参考にしたんでは…(←んなわきゃーない)。そこで、試しにこのカメラをトプコン・ユニのケースに入れてみましたが、は、入らない…。ちょっと大げさにREスーパー並と申しましたが、何とこちらのケースがピッタシ。ここまででっけーとは〜(ToT)
 軍艦部の上面は極力凹凸を避けて平面的に仕上ています。そのため、巻き上げレバーが埋め込まれているようになっていますが、この軸は多少上にズレまして、巻き上げようとすると軍艦部の斜めになった背面の角にレバーが当たり、その角度に合わせて自然に軸がせり上がってくるため、レバーを最後まで回すことができるようになるんすよ。巻き上げ角は180度をちょいと超えてます。分割巻き上げはできません。しかし、こんな変な工夫をするのなら、巻き上げ角度を減らすことや分割巻き上げができるようにする方がいいような気もします。実は巻き戻しノブも埋め込まれたようになっていますが、底蓋のロック解除ボタンを押すとここがピョコっと上に飛び出てきます。でも、ロック解除ボタンを押し続けないとギアがフリーにならないので巻き戻せないので、やっぱり変な工夫をするならここを工夫して欲しいところですなぁ。
 裏蓋は一般的な蝶番式。このカメラも向かって左側にロック解除レバーが見られますねぇ。こっちに作ったら絶えずカメラをホールドしている右手にはウザイはずなんですが、おイタさんにはこっちに設けられたカメラがなぜか多いっす。キニシナイキニシナイ。
 正面から見ると、レンズの左横にシャッターボタンが付いているのが見えますでしょ? カニ目回しの穴が空いているので、一瞬シンクロ接点かと思いますが、立派なシャッターボタンです。かなり面積が広く、決して軽いとは言えないシャッタートルクなのに、体感的にはそう重くないのよね。
 反対側にあるレバーのようなものはオートとマニュアルの切り替え用っす。右に向けるとマニュアルで、左にするとオート。ぐいっと180度回します。
 その切り替えレバーの下にあるのがシンクロ接点。ここにもカラクリがと思いきや、な〜んもありません(^∀^)

 レンズはご覧の通りシュナイダー製の立派なもの…かと思いきや、やっぱし廉価なモデル向けの三枚玉。コーティングはさすがに61年だけあってちょいと進んでいて、マゼンタとアンバー系のものが使われてます。ヘリコイドは前玉回転式のごく簡単な構造で、レンズに合わせて安っぽ〜い感じ。シュナイダーの名前が泣いています。絞りはf2.8からf22まで。埋め込まれているシャッターはプロンターのSVSというやつで、B・1〜1/300秒までのなかなか立派なものです。 Durst3.jpg
 このカメラのシャッターを押すと「シュポンッ!」と音がして、指にも微妙なショックを感じるんでやんすが、レンズシャッターそのものは普通「チッ」と音がして終了なはず。どうやらこのカメラにはエアーを使ったカラクリが本体にもぐっているようで、オートのシステムはこれを使ってシャッター速度を変更しているようです。つまり絞り優先なのですねえ。昔のオートは針押さえ式のシャッター優先がほとんどだったと思っていましたが、こういったひねくれものもいたんですねぇ。あ、でも絞り優先といってもここのリングがASA感度と直結で、ASA100にすると裏側で絞りがf11になっちまいます。せっかくオモロイ機構を持っているのに、ここらへんが非常にオマヌーです。ちなみにオートにするにはシャッタースピードを1/300秒のところに合わせます。これで露出計の指示に従って例のエアーガバナーが働いてスピードを変更している訳。カメラ本体がでっけーのは、この機構を突っ込んでいるからに他なりません。
 何だか色々なカラクリを用いながら、どれもちと抜けているカメラですが、ま、そこら辺がドイツの臭いをぷんぷん感じさせるダーストでもやっぱイタリーな面がタップシな訳なんですね。

ダースト・ドゥーカ ドゥカール 50mm f11
DURST DUCA DUCAR 50mm f11

Duca1.jpg  こちらが47年発売の、ナゾの35mmカメラ、ドゥーカです。非常にちっこいです。形もそうですが、大きさもガマ口みたいです。具体的に申しますと、高さが105mm・幅が40mm・奥行きが77mm(実測っす)ですが、これで35mmカメラを作っちゃうんですから立派なもんです。ただし、さすがにフィルムマガジンはラピッドのものを使いますが、サイズは普通のマガジンより高さがちょっと低くなっている程度なんですよー。スプールのようなものは全くなし。その上、蓋がかしめてあって分解できないもんでちょっと困るんですなー、これが。つーのも、フィルムをただ押し込んで中で勝手にくるくる巻くようになってるんですが、スムーズに巻けるよう中に三日月状に折り曲げられた幅5mm程の真鍮板が両側に入っているんです。ここにフィルムが変な形で引っかかるとウンともスンとも言わなくなります。無理に引っ張ると中にフィルムの破片が…。と、取れねー(ToT)←やっちまいました。
 レンズはコーティングの施されていない単玉で、f11の固定。シャッターはギロチン式のもので、こちらもBの他は1/30秒の固定です。真昼間に撮るとしたら、ASA25のフィルムを使いましょー。あ、でもヘリコイドは付いてますから、焦点距離は目測でちょろりと合わせないとあきまへん。ちゅーても、1-3mと3-∞のマークしかないっすがね。ちなみに距離のマークの上にあるのは何かの蓋ではなく、シャッターの切り替えスイッチです。上の画像の状態で1/30秒になってま。 Duca2.jpg
 巻き上げはレバー式で、この点では47年にしてはパチパチと拍手を送りたいですが、良く考えてみるとラピッドマガジンにスプールがないのだから、回転させる必要がないんでして、このレバーもただシネフィルムの穴に爪を突っ込んでフィルムを押し上げるものなんですなー。別段ハイレベルなものでもな〜んでもなかったりして。で、結局フィルムは縦方向に送られまして、構図も縦位置になります。当然、上部に埋め込まれているファインダーも縦長のものです。
 ところで、このカメラのフィルムカウンターはレバーの基部に付いていますが、そこにプリントされている数は0〜12ですので、12枚撮りのフィルムを使うことになります。気付きませんでしたが、ラピッドフィルムは皆12枚撮りだったんですねぇ。まあ、実際このマガジンでは36枚はちびしいでしょう。すぐ詰まっちゃいそうです。
 DUCAはこの青いボディの他に、普通の黒や赤など、全5色のものが作られたんだそうです。ちなみにこの青は、何だか土木工事に使う工具の色のような微妙な色っすねー。
 それにすても、ダーストはなしてこげなカメラを突発的に作ったんだべー?(←なぜ訛る〜)

ダースト66 カラー・デュプロン 8cm f11
DURST 66 COLOR DUPLON 8cm f11

Durst66a.jpg  へ〜んな機構の中判カメラでがす。はっきし言ってかなりでけーです。フォーカルプレーンシャッターが入っている訳でもないのに、弁当箱(注;ドカ弁…いや、ドゥカ弁としておきましょう^^)みたいにデカイ(いや、デュカイとしときましょう←しつこい)カメラっす。横に上記豆のようなドゥーカを並べたら、ジャイアンとスネオみたいな塩梅になります。そのくせ、レンズは単玉固定絞りですから、何だかおかしな感じ。フェラーニアの単純カメラと違って作りは物々しいんですが、結局は単純カメラの一員ですな。
 発売は1956年で、ドゥーカからしばらくして作ったことになりますが、このカメラには他では見られないおかしなシャッター機構が用いられてま。単玉カメラなのにシャッターだけはB.1〜1/200秒まであり、「じゃ、レンズシャッターなの?」と思いきやただのギロチン君。でもエバーセットではなく、チャージは巻き上げノブと連動して軍艦部内の駆動系スプリングをチャージするんですな。巻き上げ、キツイっすよ〜。 Durst66b.jpg
Durst66c.jpg  で、分解してみるとシャッターダイアルと駆動系は何ら機械的に連動しておらず、「???」ですが、ダイアルの下に同じ大きさの真鍮板が噛み合っていて、その間にゴムのパッキンが入ってました。よく見るとこの真鍮板には、大きさが徐々に変化する形で穴が空いていました。まだ「???」っすが、ボディ側を見るとこの穴の下に直径1ミリほどの穴が空いてまして、どうやらシャッターダイアル側の穴をここに合わせて、空気抵抗でシャッターの緩急を付けているみたい。すっごくヘンテコです。
 ただし、今から50年近く前のものゆえ、ゴムパッキンが劣化して、役目を果たさなくなってま(ToT)。せっかくのオモロイ機構ゆえ、何とかしたいですが、たまにしかスピードが変わってくれないのが悲しいところ。
 ボディはベンチーニ流のアルミ外殻の昆虫型。表面を結晶塗装にしてちっとは高級感を出しているつもりなんでしょうが、色々なパーツが安っぽいので、無駄な努力っちゅう感じ。赤窓だし。でも、たった四段階ながら、オプチカル・ウェッジ式露出計が入っているのはよろし。これをチェックして上面の絵でシャッター速度を決めるんですな。簡単です。でも、一応シンクロ接点もヘリコイドも付いてます。
 裏蓋の開閉は赤窓のロータリーを逆に回すと裏蓋上部のロックが下がってきて、すっぽりと外れる仕組み。なかなかオシャレに決めてくれましたが、フィルム圧板くらい付けて欲しかったとです。

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