FOTOCAMERE ITALIANE - S.C.A.T.

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スカット 25mm f3.5
S.C.A.T. 25mm f3.5

実寸大に近いっす

 ややこしいですが、イタカメの名はやたらに省略モノが多いです。このサブミニチュアの世界では有名なおチビちゃんの名である「S.C.A.T.」も、「Societa Costruzione Articoli Tecnici」の略で、正式には「ソチエータ・コストゥルツィオーネ・アルティコーリ・テクニーチ」となる訳っすが、さすがにそりゃ長すぎ。で、頭文字だけの省略で、それを単語のようにしちゃう。I.S.O.やA.F.I.O.M.とかS.E.D.E.などと同じ手法ですな。
 このメーカーは47年に突然この本格派スパイカメラを売り出してから、52年に金ピカバージョンを出すまで生産を続けて粘りますが、他にカメラなど一切作っていません。50年代半ばには既に業界から撤退したか倒産したような感じです。
 良く国内ではこの名を「スキャット」と英語読みされちゃいますが、「スカット」と読むべきっす。

ミニラピッド式とも言うべきマガジン

どっちが上で、どっちが下なのよ〜

 上の画像が17インチモニターで見たところ原寸大に近いですが、実寸は横幅49x高さ29x奥行き42(各mm)でした。ファインダーを立てると10mm程高さがアップします。と言っても小さいことに変わりありませんが、作りはしっかりしてまして、結構ズシリとします。
 レンズはノンコーティングの3枚玉で、意外と立派。シャッターはギロチン式1/50秒単速ですが、単純なエバーセットと違って、中央のノブを回してフィルムを送り、巻き上げの完了と共にシャッターも切れるようになると言う、一見本格派っぽいものです。そのカラクリを下の分解画像で確認します。
 まずフィルム送りですが、下の画像の中央のノブを右に回すと、その基部の左上へ伸びる黒い爪が右へ進みフィルムを送りつつ、左下の二本爪の方も左横に付く細い板に出ている小さなポッチを挟み込んで動かします。

レンズは3枚玉ですぜ!

巻き上げ兼シャッターボタンのノブ  今はシャッターを切った後の状態ですが、ノブを回して巻き上げると、二本爪もポッチを挟み込んだところで止まり、シャッターを切る時は反対にノブを回し、爪が今のところに戻るかどうかと言うところでポッチが抜けて、細い板が今の状態に戻る際にシャッターがおよそ1/50秒で切れると言うカラクリなんですな。
 結局シャッターそのものはエバーセットになってるんですが、巻き上げと連動させて、さらにシャッターボタンの役割さえこの爪に与えている訳ですから、ものすごいアイデアですねぇ。
 で、画面サイズは一コマ8x11mmでして、送り出す側が8mmになります。16mmフィルムを専用マガジンに巻き付けておいて使うと良さそうです。このマガジンには中にスプールなどないので、ラピッド式と同じように、一方にあらかじめフィルムを巻き込んでおいたものを、ただ爪で送り出して反対の空のマガジンに送り込むだけ。ですから、パーフォレーションは必須なんですが、さーて困ったもんです。16mmないしダブル8フィルムのパーフォレーションが丁度良いので入手しておかないといけませんが、ネガフィルムでないと話にならんですな。
 期限がとうに切れたダブル8フィルムを切り、どれだけこのマガジンに入るのかをチェックしてみましたが、長さで10cm、コマで10コマ程度がやっとでした。こんな小さなマガジンでも、幅1.5mm・長さ2cmくらいのカールした薄い金属板が二つ並ぶように入っていて、これがスプリングとなってフィルムを送り出しやすくしているのでしょうが、これのおかげかフィルムそのものがあまり多く入ってくれません。
 ワテが入手したのは前期のモデルと後期のモデルの丁度中間にあたる過渡期のもので、前期型は透視ファインダー枠(前)の脇に小さなノブがあって、中の板にはまったフィルターを選択できました。後期はここが完全にふさがれたカバーになりますが、この過渡期のものはプレートをネジ止めして穴をふさいでいます。

専用フィルターと元箱と速写ケース

 このプレートを外すと、中の板は残っていて、指先で動かすとスライドしますが、フィルターは設置されていません。代わりに専用フィルターが革ケースに納まるように備えられてます。このフィルターがNDフィルター的に絞りの役目も果たしているんです。これが内蔵されちゃうと、曇った場合どうにもならなくなりますから、外付けにして前期型のトラブルを避けたのでしょうね。ちなみに後期型はノブが真っ黒になっていて、レンズの周囲の鏡胴前面部分にもリング状に段差が付けられていました。でも、レンズの方が黒くなっていないので、別段段差を付けても乱反射防止にもなーんにもなりませんがね(笑。ちなみに、ここでご紹介した過渡期のモデルでもノブの黒いものはありますんで、結構その辺はいいかげんなんでしょう。

35mmパトローネと同じようなサイズ

 他にこのカメラの優れたところは、初めに書いた3枚玉レンズにしっかりとしたヘリコイド機能が付いていること。このおかげで、1.5m弱から∞までバッチリです。でも、もちろん目測式ですよ。目盛りは1.5・3・5・∞だけですから、まあ、ゾーンフォーカス的に使う感じになりますね。
【追記】その後16mmシネフィルムのネガを探していましたら、東京の「レトロエンタープライズ」さんで在庫があることを突き止め、早速注文してフィルムを装填してみますと、これがもうバッチリ! GaMi 16やミノルタMGなどにも使えますんで、これで16mmフィルムの切り出しは不要になりました。値段はこの手のものは現像料を含みますので、1万4千円程になりますが、16mmサブミニチュアカメラでは無限に使えちゃいそうです。

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