FOTOCAMERE ITALIANE-WEGA

Fotocamere Italiane - INDEX -

WegaIIaimage300.jpg Wegalogo.gif

ヴェガ IIa トリクサー50mm f3.5
WEGA IIa TRIXAR 50mm f3.5

WegaIIa.jpg

 1953年製のライカコピー機で、キナーリア・ドメニコで開発されました。クリスタルはグイド・ノニーニ・ミラノから発売されましたが、このヴェガはA.F.I.O.M.(アフィオム)から発売されてます。当初は自社生産だったのかも知れませんが、後にヴェガがCDネーム(キナーリア・ドメニコ)で販売されたように、両社間には深ーいつながりがあったようです。

WegaIIaCDname.jpg
WegaIIaCDnameB.jpg
 CDマークはこんな具合ですが、下の方がWEGAのロゴがクリスタルのロゴに似てより大胆になってますね。
 ちなみに、A.F.I.O.M.はApparecchi Fotografici Italiani Officine Meccanicheと言う長ったらしい正式名称の略です。
 機構は基本的にクリスタル2Sと同じもので、1/20秒〜1/1000秒までのスローなし中間速度ありのシャッターを備えます。
 クリスタルの距離計のないスタンダードモデルは、このヴェガIIaのベースになった八角形のボディで、逆にヴェガのスタンダードモデルはクリスタル2S・3Sと同じ丸みを持たせたボディをわざわざ使って差別化してます。はっきり言って意味不明です。ヴェガはクリスタル53と同じ年に発売されたせいか、それより古いクリスタル3Sとは異なって軍艦部が一体化されていて、シャッターダイアルもキノコのような形のデザインになっています。また軍艦部上面も平らではなく、丁度中心に横線を引いたところから後ろがわずかに下がっていて、接眼部の上部がとっても薄いのがこれまた奇怪です。 WegaIIa1.jpg
 ところで、ヴェガの軍艦部は一般のライカコピー機より低いために巻き上げノブを引き出す必要がないので、このカメラのそれはただ回転するだけになっています。でも、やっぱりちょっとでいいから引っ張り上げられれば、もっと巻きやすくていいのに。手を抜いています。
 各種のノブ類も普通ではある程度ノブに刻まれたネジを締めた上、所定のところで目立たないイモネジを使って固定されるものですが、このカメラではただノブの軸のネジに締め込んで固定しています。シャッターダイアルでは固定される位置がシャッタースピードの表示の位置にならなくてはいけないので、結構ネジの精度が求められます。
 このヴェガIIaには標準レンズとしてTRIXAR 50mm f3.5が付いていますが、このレンズは玉自体クリスタル用ステイナー50mmと何ら変わりはなく、大陸絞りの3枚玉レンズです。名前からも分かりますが、ツァイスのトリオターのコピーですね。ただし、鏡胴デザインや材質はステイナーとは若干異なり、ヴェガの鏡胴はエルマーのようにレンズを繰り出すと普通にヘリコイドのネジ山が現れ、材質も真鍮を多用した平凡なタイプです。この点ではヘリコイドの山がきれいに隠されて現れず、材質もアルミを多用しているクリスタル用のステイナーとは対照的でして、ここでもちょっと手を抜いたのかとも思えてしまいます。
 ボディは多くのイタリア製ライカコピー機と同様に、ライカDII型を参考にしており、まだダイキャストではなくプレスのボディを用いていまして、そのため、若干弱々しい印象もあります。しかし、パーツは頑丈で故障はあまり考えられないですね(シンプル過ぎて壊れる率が低いとも言う)。ボディの外枠と内側の基部は背面のたった3本のビスで止められていて大胆ですが、この点だけはちょっと頼りないかな。そのくせ、底蓋を外すと妙に凝った結晶塗装と美しい文字が刻まれてたりして、「力の入れるところがちゃうやろー」と独り言をつぶやいてしまいます。
 イタリア製のフォーカルプレーン機は、全体的に意外と作りがしっかりしています。このカメラの場合、機能的には何ら独創的な面は見られませんが、微妙に外れた独特のデザイン(←オマヌーな面構えとはっきり言いましょう)が面白いです。この印象は低く押さえようとした軍艦部のデザインがもたらしたものなのですが、どうも素っ頓狂な顔立ちを見せます。ただし、ちょっと外れていても、国産のライカコピー機や旧ソ連製のカメラのイモ臭さ(失礼―ワテも好きですよ)とは異なるシャレたイメージがあるかも。

This camera is Leica copy model made in 1953. I think that this was developed with the "Cinaglia Domenico". The Kristall camera was launched from the "Guido Nonini", this Wega was launched from "AFIOM". Even the AFIOM was the factory, this Wega might have been own company production at the beginning. However, seems to have there been deep connection among both company, because "CD" name model was sold at the later time.
The system is the same as the Kristall 2S and keep 1/20〜1/1000 seconds shutter.The standard lens is Trixar 5cm F3.5 and this expresses a very sharp image. The constitution is the "Triplet" type.

ヴェガ スタンダード ヴェガ50mm f3.5 / トリクサー50mm f3.5
WEGA Standard WEGA50mm f3.5 / TRIXAR 50mm f3.5

WegaStandard.jpg  先ほどちらりと述べましたが、こちらがクリスタルと同じボディラインを持つスタンダードのボディで、角が丸みを帯びているでしょ? シンクロ接点を備えていますが、これはまんまクリスタルと同じで、上に付いています。シャッターダイアルはクリスタル2a型ではなく、2S/3Sの中間速度が使えるタイプが使われています。こうなるとマジで両者は、腹違いの兄弟と言うより、実の兄弟と言う感じですねぇ。
 で、実はこのスタンダードのボディも後に八角形タイプのボディが使われまして、クリスタルのスタンダードと共通のボディを持つようになりました。ヴェガIIaと同じボディになったとも言えます。シンクロ接点も下に移動してます。また、巻き戻しノブもちょっとばかり太くなってますが、これはこのカメラ独自のものみたいですね。巻き上げノブと同じ径のようです。ま、まさか、ここまでパーツの共通化を図ったなんてことは…。さすがにそこまではしないか。 WegaStandard2.jpg
 この2つは良く見るとレンズもちゃいますでしょ? 上はトリクサーの廉価版にあたるもので、その名も「ヴェガ・アナスチグマット50mm f3.5」です。レンズ・鏡胴周りは変わりがないようですが、ヘリコイドが簡素化されてレバー式ではなくなってしまいました。元々レンズは外注で、どうもトリクサーもステイナーもですが、クロスター製のレンズのようです。
 さてさて、結局アフィオムとキナーリアの関係って何よという点ですが、ミランダとミラックス商事(ソリゴール)のようにちょっと良く分かりませんですな、これが。でも、推測させて頂きますと、多分、キナーリアがアフィオムに自分のところで開発したカメラを売り込んで、「Wega」のネームを付けて売る権利を与えただけなのではないかと。その後、アフィオムが早々に撤退してしまったもんで、せっかくの「Wega」の名前を消さないようにキナーリアが自分の販売ルートから売ったんではないかと。ちょうどその頃にはキナーリアも卸商社のグイド・ノニーニと別れていたので、問題なく別銘柄だったWegaを売ることができたんでしょうね。後になってCDネームのヴェガになったり、ヴェガのスタンダードのボディがクリスタルのスタンダードのボディと同じくなったり、結局はキナーリアが色々と操作していたんでしょう。

The image proffer: Mr.Marco Antonetto

Fotocamere Italiane - INDEX -