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Janua

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発売年: 1948-1951年
メーカー: San Giorgio S.i.p.A.
サイズ: 135x80x48mm(レンズ沈胴時)
重量:635g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T,1〜1/1000秒
標準レンズ: Essegi 5cm F3.5 3群四枚構成(テッサー型)
レンズマウント: オリジナル・バヨネットマウント
生産台数: 1100台未満
シリアルナンバー: 450865(シンクロ)
       450338(ノンシンクロ)
分類番号: グループ2

 サン・ジョルジョは戦前から主に軍用光学機器を作っていたジェノヴァのメーカーで、終戦とともに民間光学機器の製造に活路を見出そうとして、まずは非常に精巧であるが試作品でほとんど売られることのなかったサブミニチュアカメラ"Parva"を、次にたった50台しか作られなかった24x24の35mmカメラ"Safo"を発売した後、48年にようやくこのヤヌアを発売した。ヤヌアはイタリアンカメラの中では最も高価で、当時の価格でライカIIIcよりも高い135,000リラもしたためか、生産台数の伸びないまま、51年に販売を終了してしまった。その後サン・ジョルジョは"ELSAG"(Elettoronica San Giorgioとなり、電気製品メーカーへと転身した。

 標準レンズはエッセジー(Essegi)5cm F3.5。3群4枚構成のテッサー型であるが、マウントは独自のバヨネットタイプで、無限遠ストッパーのピンが実はバヨネット解除のボタンになっていて、一見普通のスクリューマウントのようにすっきりとした出来栄えである。その他にクリティオス(Kritios)5cm F2も10本ほど試作されたが、非常に長いレンズで、まるで沈胴式のエルマー90mmのような印象である。交換レンズはクレイトス(Kleitos)2.8cm F5.6、テレオス(Teleos)20cm F4.5が用意されたが、これらのレンズもほとんど試作品なのだろう。残念ながら画像すら拝めないのが現状である。

 さて、ヤヌアの仕様であるが、まず最も気になるのがビューファインダー下の黒い帯であろう。これはオプチカル・ウェッジ式の露出計の窓である。つまり、濃度が7段階のグレーのフィルターを通して読み取れるギリギリのところの数字を、背面の露出換算表に合わせて適正露出を得るという古典的なもの。それでも、意外と精度は高く、結構有効である。このタイプの露出計を備えたライカ型カメラは、I.S.O.の最初の機種である"Lux"のみである。
 レンジファインダーは着色のない一眼式で、倍率は0.7倍程度であるものの、基線長が60mmもある。視度補正機能も埋め込まれていて、ファインダー上面のダイアルを回転させて-3から+3の範囲で選択する。
 シャッターダイアルも40年代のカメラとしては非常に先進的で、一軸不回転式を完成させている。しかし、これは時計回りにしか回らないのが残念である。ちなみに、シャッターダイアルノ後ろにあるレバーはセルフタイマーで、これを引き出してシャッターボタンを押し、そのままボタンをひねって固定しておけば良い。
 ヤヌアの総生産数は過去の書籍では3000台とされるが、多分これは皆M.Malavolti氏のまとめたイタリアンカメラのバイブル的な『La Produzione Delle Fotocamere Italiane』にそう記載されていることが枝葉に広がったものだろう。しかし、シンクロモデルが最後期にわずかに作られたとされるが、ここのご紹介するモデルのシリアルナンバーは850で、個人的に確認したその他のシンクロモデルは1025と1045であった。1000番以降のシンクロ接点は背面のシャッターダイアル下に移されたが、1000番でもノンシンクロモデルは見られる。またシンクロタイミングダイアルが前面に付けられたものもわずかに見られるが、いずれにせよ最後期のシンクロモデルであっても1050番を超えたものは見られない。

作例:「ちょっと暇かも」

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使用カメラ: ヤヌア エッセジー5cm F3.5
フィルム: Agfa Vista 100 ナニワカラーキット現像
シャッタースピード: 1/100秒 絞り: f6.3

 エッセジーは、個人的に所有するイタリアンカメラのレンズとしては、WegaのTrixar5cm F3.5に並ぶ優れたレンズであると思っている。発色の派手さは全くないが、ナチュラルな発色ととともに、テッサー型にしては柔らかで大き目のボケがリアルな描写を生んでいる。もちろんシャープネスも充分で、ほとんど欠点の見られないレンズである。

by トプ・ガバーチョ

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