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Nicca Type 5

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種類: Type 5
発売年: 1955年
メーカー: ニッカカメラK.K.
サイズ:
重量:
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T、B、1〜1/1000秒
ファインダー: 二重像合致二眼式
標準レンズ: ニッコール5cm F2
レンズマウント: L39スクリューマウント
シリアルナンバー: 129863
分類番号: グループ1a

 ニッカカメラの前身は1940年創業の光学精機社で、キヤノンの前身、精機光学でハンザキヤノンの製造に従事していた人間数人が立ち上げた会社である。1941年には最初のカメラ、ニッポンを製造している。このカメラは戦争によりライカ
の輸入が困難になったため、パテントを無視してコピーせよとの軍の命令で造られたカメラであった。主に従軍カメラマンに配られたようだ。戦後はメーカー名をニッポンカメラと改め、1947年から製造を再開している。ただし、輸出するには「ニッポン」の名では終戦直後ゆえ問題があったのか、すぐにカメラの名前をニッカに改めた。安価な割りに製品としての評価が高く、欧米ではタワー(TOWER)のブランドでも売られるようになった。
 ニッカはこうしてIII型系、4型系と発展し、50年代半ば以降ではこのニッカType 5に至る。

 このカメラはニッカにとってある意味節目となるカメラで、色々な新機軸が採用されている。まずボディーがダイキャストになってやや大きくなったものの、精度が向上。シャッター速度にも1/10秒と1/15秒が加わり、スローの使い勝手も向上。またライカM3の影響か裏蓋の圧版周辺が一部開くようになり、フィルム装填がいくらか楽になった。また、ファインダーと距離計の窓を近付けている。
 内部機構も全面的に改修され、ボールベアリングが入り巻上げが大変スムーズになった。これら以外にも細かい改修が多数あり、ライカIIIfとは互角以上に対抗できるようになった。が、しかし、すでにライカからは前年にライカM3が発売されており、結局は大きく溝を開けられていた。

 その後ニッカは3型系、5型系、III型系の改良型を逐次投入するも、結局ヤシカに吸収合併されて消滅する。そのヤシカも京セラに吸収され、もうニッカの名はどこにもない。最終型は1958年発売のニッカIIIL、パララックス自動補正等倍ファインダー、倍数系列シャッター、レバー巻上げ、フィルムカウンター自動復元など、ライカM3を目標にしたが、高低2軸シャッターなどまだライカM3には及ばず、また、一眼レフの台頭も徐々に進みその命脈は尽きていたのだろう…。
【ニッカのレンズについて】
 ニッカは日本のライカコピーとしてはレオタックスと双璧で、レオタックスが名門東京光学のレンズを、ニッカは名門日本光学のレンズをそれぞれ純正に採用した。日本光学と東京光学はそれぞれ戦前には海のニッコー、陸のトーコーといわれ、日本の光学メーカーの双璧であった。日本光学は戦艦大和の45口径46センチ砲の測距儀(レンジファインダーのお化けみたいなもの)を造ったのでつとに有名である。これは42キロ離れた敵艦へ46センチ砲弾を命中させるためのもので、大変な精度が要求された。
 さて、ニッカType5の標準レンズはニッコールH.C5cmF2であるが、後期の黒鉢巻と呼ばれるもので、絞りリングが黒い。このタイプになるとイエローカブリが多いニッコールレンズにあって、発色がニュートラルで写りが良いと大変珍重されるレンズ。固定鏡胴。最短撮影距離が1.5ftというのも特徴である。(距離計には1メートルまで連動)レンズ構成は3群6枚のゾナー型。フィルター径40.5ミリ。

春の小雨

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ニッカType5
ニッコールH.C 5cm f2 
シャッタースピード〜1/200秒 
絞り〜f2 
使用フィルム〜フジ・ベルビア100F

 今回は距離計が連動する最短距離3.5ftにおいて開放で撮影した。ニッカの距離計は大変精度がよいのか、開放・最短でもきちんと合焦している。開放とは思えないシャープネスであり、本家ゾナーを超えたのではないかと思えるくらいである。ただ、ボケはニッコールに多い、ちょっとうるさい感じがある。雨の中の撮影にもかかわらず色のりもよく、かなり優れたレンズだ。現代でも十分通用する優れたレンズであろう。

by 絶版倒産カメラ狂

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