ヨコハマ・マウンテン・パッセンジャーズ
林道ツーリング13〜奥志賀方面

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 今回は当初9名の予定でツーリング企画を組んだのであるが、しばらく天気予報で当日の状況が悪かったので、一旦キャンセルすることにした。しかし、前日の予報は一転して良好だったので、急遽ツーリングを決行することにしたのであるが、既に仕事を入れてしまった者や、家庭の諸事情で同行不可能になった者が多く、結局ハヤカワ‐ハスラー7型・ウカイ‐ハスラー12型・私‐サイドワインダーの三人で奥志賀方面の林道を目指すことにした。
 この写真は一本目の林道である湯沢林道でのスナップ。実はこの日が我がF4サイドワインダーの林道デビューなのであった。
 湯沢林道は以前に来た時よりかなり荒れていたため、サイドワインダーではまるでロデオである。オイルシールを交換してまだあまり走っていないため、フォークの動きも渋く、リアショックはすぐに底づきする。ウカイくんも久々の林道のためか、体が付いて行かないようである。ハヤカワさんだけが荒れた道を爽快に飛ばして行く。
 湯沢林道を出てすぐに小串炭坑跡に向かい、そこでダートランを満喫したが、残念ながらかなりガスっていたので、雄大な景色は堪能できなかった。

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 ここではサイドワインダーの試乗会を行なったが、やはり60年代のバイクなので、少々感覚が違うようだ。特にそのポジションが妙で、ステップがかなり前の上の方に付いており、その上幅が広いので完全に「殿様乗り」になる。スタンディングするとひざの辺りにハンドルのグリップが来る。また、ステップのラバーはただ被せてあるだけですぐに抜けてしまうので、注意が必要である(なんちゅう作りでしょうね)。しかし、エンジンは2台のハスラーよりもかなり伸びるようである。パワーも文句なしであるが、四速ボトムニュートラル(!)である点は扱いづらい。

 小串炭坑跡から戻った我々は、山田入林道に向かうが、途中ハヤカワさんが以前から気になっていたという、謎の林道に入ってみることにした。行き止まりであることは分かり切っていたが、かなり荒れている割に結構奥まで続いていた。どうやら植林のための作業道のようであるが、軽トラックのワダチが相当奥の方まで残されていた。一体どこでUターンしているのだろうか。ここもかなりガスっているので、少し休んで山田入林道に向かうことにした。

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 山田入林道は万座峠側からだとつづら折れの下り一辺倒の区間がしばらく続くが、後半は比較的ゆったりとした印象のコーナーが多い。路面はフラットなので、走りやすい道だ。サイドワインダーにはトライアルタイヤが付いているが、これが意外にもよくグリップしてくれる。ビッグホーンを走らせた時はトライアルタイヤだとすぐに滑りそうだという先入観から、林道走行前にエンデューロタイヤに交換したが、サイドワインダーはフロントが19インチなのでそうする訳にもいかない。しかし、何ら問題はなかった。

 翌日の朝は奥志賀方面に向かい、まず渋温泉から金倉林道を走る。私もすでにサイドワインダーに馴染んでいたが、ウカイくんもとっくにダートの感触を取り戻しており、現行車で流して走る時と変わらぬペースで走っていた。天気は予報では曇りであったが、運がよいことにしっかりと青空も見える。のんびりと起きて、ゆっくりと宿を出て、爽快な天気のもとで林道を走る。正に至福の一時である。それにしても昨日と違って、一台のバイクともすれ違わないのはなぜなんだろうか?

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 金倉林道と倉下林道の分岐にて。災害のため通行止めとなっているが、恐らく大したことはあるまい。なぜなら、ガードをどかして侵入した車やバイクのワダチがたくさん残っていたからである。とはいえ、我々はここで倉下林道を下りる予定だったので、ここで左折した。後で竜王スキー場のレストランで聞いた話では、道が崩落して実際バイクでも通れないだろうとのことで、ここで無理をして強行突破しなかったのは正解だったようだ。皆さんもあまり無理はしないように(私がそんなこと言っても全く説得力はないが)。
 倉下林道を抜けた我々は、ホテルバンフ北志賀のレストランで食事を取った。ここは「ライダーに優しい店」と謳っている通り、色々な林道情報を提供してくれた。写真の一番右側がここの“若旦那”である。とても気さくな方で、好感度万点である。シーズンオフは平日二食付き6000円から宿泊できるそうだ。皆さんもぜひ利用されると良いだろう。
 ところで、倉下林道は残念ながら半分舗装化されつつある。奥志賀林道側はダートのまま残るそうだが、もう簡易舗装が相当進んでいるのは悲しかった。素晴らしいダートなのに…。
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 食事を取った我々は、すぐ隣の丸山林道を走ることにした。この道の途中には雑魚川林道との分岐があり、時間があったらこちらも入る予定であったが、のんびり走っていたのでちょっと無理そうである。しかし、入口から少し行くと、ここもスキー場を横切るのであるが、その付近にはリフトの降り口があり、眺めも良いのでここで写真を撮らせてもらった。写真では立体感がなかなか出てはくれないが、結構高低差がありちょっとおっかない雰囲気である。
 丸山林道は以前と全く変わらぬ走りやすい道が続いていた。この辺りからガスが濃くなってきたが、場所によってはかなり晴れ間も出るように、ちょっと不安定な天候であることは確かである。
 右の写真は颯爽とコーナーを抜けるウカイくん。飛ばし屋ではないものの、実に安定した走りをする。キャリアも結構長いので、一緒に走っていて何の不安も感じさせない。今回はちょっとハスラーのセッティングが万全でないため、回転が5000までしか回らなかったのが唯一の不満だったようだ。

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 こちらはハスラー7型を楽しそうに走らせるハヤカワさん。メンバー紹介のところでも書いたが、物凄いバイクマニアで、その所有台数は凄まじいものがある。レストアも自分でこなすが、このハスラーは何と3個1で仕上げたものだそうである。金属部品がきらりと光り、美しい色合いを見せていた。この人もとても安定した走りを見せるが、そこそこのスピードも楽しむタイプで、実際なかなか旧車に乗らせると速い。本当にバイクが好きな人とは、こういう人を言うのだろう。
 カヤノ平牧場との分岐点でポーズを取る私。今回がサイドワインダーの林道デビューであることはお話したが、このバイクが5年前にアメリカから入って来た時はエンジンの中身が悲惨な状態で、素人の手には負えないものだった。それを完全にOHしてくれたのは、横浜の上大岡の先にあるMCアオキというショップのご主人である。実に気さくで気前のいい人で、何かにつけ感謝することばかりである。このバイクも完璧な状態に仕上がり、エンジンもカワサキらしくどこまでも回りそうな雰囲気がある。 0092l.jpg

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 奥志賀林道に出た我々は、最後に馬曲鳥甲林道に入ることにした。しかし、ここは入口に「ヘリコプターで治山工事のため通行禁止」とあり、しっかりとしたゲートが設けられていた。一体ヘリで治山とはどういうことなのかと不思議に思った我々はどうしたものかと思案していたら、運良くあっさりと入ることができた。そして走っていると深い谷間の途中の一角に巨大なヘリが止まっているではないか。周囲の様子からすると、砂防ダムを作るためのコンクリートを運ぶために使われているようである。

 帰り道で一時激しい雨に降られたものの、結局ほとんど天候が崩れることなく、素晴らしいツーリングを堪能できた。今回来られなかった人達は残念だったけれども、次回また皆で楽しめることだろう。しかし、それにしても林道にヘリなんて考えもしなかった意外な取り合わせであった。こんなことは二度と経験できないだろう。馬曲鳥甲林道はよっぽど運が良くない限り、今後も100%通行は不可能である。無茶な手段は使ってはいけない。工事が終わって自由に走りたいのなら。

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