TOPCON CLUB (トプコンクラブ)

TOPCON CLUB-Leaf Shutter SLR 1 (PR - Wink Mirror E)

 

Topcon PR 1st model

トプコンPR前期型
TOPCON PR 1st model

 1959年発売の、日本初のペンタプリズム搭載の本格的レンズシャッター式一眼レフ。レンズはトプコール5cmf2.8で、3群4枚構成のテッサー型。当時の説明書には誇らしげに「稀元素を含む新種ガラスを使用」とある。ミラーはクイックリターンではなく、絞りも手動プリセット式だが、面白いことに、ミラーアップ時のファインダー側からの光の進入を防ぐべく、シャッターと連動した遮光のための金属シャッターがファインダーアイピースのすぐ内側に設置されている。
 レンズシャッターはシチズンMVを使用していて、B,1〜1/500秒の範囲で速度を選択するが、1/30や1/60秒の倍数系列ではなく、旧ドイツ製カメラのように1/25・1/50秒などの旧シャッタースピード系列を採用している。
 寸法と重量は130×82×71mmで重量は620gと、かなり小型軽量である。フードは基部の二つのボタンを押し込んで取り付けるワンタッチ着脱式のものが用意されている。ただしその仕組みはトプコンR用のフードのように凝ったものではなく、ただ溝にボタンで引っ込めた歯を噛ませるものである。
 上の写真は前期型で鏡胴がクロームになっている。正面から見てレンズの左側に付いている小さな円形のノブはセルフタイマーレバーの指掛けで、その下の長方形のものはプリセット絞りの指掛けである。ピント合わせ時はここを上にして絞りを開放にしておき、撮影時にこれを下に引き下げて絞り込んでからシャッターボタンを押す。

Topcon PR 2nd model

トプコンPR後期型
TOPCON PR 2nd model

 こちらは小変更された後期型で、まず目に付くのは鏡胴が黒くなっている点である。セルフタイマーの指掛けには小さなプラスチックのものが使われているが、シャッターユニットはシチズンMVで、前期型と同じである。
 最初のPRに使われたペンタプリズムの銀蒸着は弱く、すぐに剥離するトラブルが発生したようで、後期型からはここがより信頼性の高いものが使われるようになった。
 固定レンズはTopcor 5cm F2.8で、3群4枚のテッサー型である。コンバージョンレンズとしてTOPCOR AUX. WIDE-ANGLE LENS3.7cm F4と同TELEPHOTO LENS 9.4cm F4が用意された。
 その他、デザインは両者とも全体的にシンプルで、小さく軽く、そしてかわいらしく仕上がっている。
It is the substantial leaf shutter single-lens reflex camera of the prism installation at the first Japan that was launched in 1959. The lens is Topcor 5cm f2.8. It is the Tesser style of constitution 3 groups 4 elements. Although the mirror is not a quick return and even the aperture is a manual operation presetting ceremony, it is small light, and it is completed lovelily. The measure and weight are 130×82×71mm and 620 g.

 

Topcon PR II

トプコンPR II
TOPCON PR II

  1960年発売のマイナーチェンジバージョンで、半年強で製造中止の短命なモデルだった。自動絞りとライトバリューが付いたのが最も目立つ変更点であるが、基本的にはそう変わっていない。とは言え、細かいところはかなり変更されていて、フィルム感度インジケーターが巻き戻しノブの根元に付いた。
 シャッターはこのモデル以降セイコーシャ製のSLV型に変更され、これ以来最後のレンズシャッター機であるユニレックスまで運命をともにするようになった。
 レンズの材質はPRのものとは異なり、曇りの発生が少なくなったようだ。写りはこのカメラの見てくれとは違って、シャープで力強い印象である。
 アクセサリー類はPRと共通。その中のコンバージョンレンズは広角と望遠の2種類があり、それぞれ3.7cmと9.4cmがPRから引き継がれ、新たに8.5cmが供給された。なお、ベセラートプコンAはこのカメラであるが「Beseler」の文字は刻まれなかった。
This camera is the minor change version that was launched in 1960. An automatic aperture and light value were attached. This camera's production has been stopped in about a half year. Therefore, there is little production number of units of this camera.
Topcon PR II & TOPCOR AUX. lenses  こちらがPR IIと専用コンバージョンレンズ。カメラに到着されているのがTOPCOR AUX. WIDE-ANGLE LENS3.7cm F4で、左がTOPCOR AUX. TELEPHOTO LENS 9.4cm F4。これらはPRの頃から供給されていたが右のがTOPCOR AUX. TELEPHOTO LENS 8.5cm F4はPR IIの頃になって切り替えられたものである。9.4cmではともすると周辺部の像が弱くなる傾向が強く、それを矯正して焦点距離も抑えてすっきり使えるレベルの画質に向上させたものである。
 これらのコンバージョンレンズにはそれぞれ専用のレンズフードが用意されたが、口径が大きくなるので、装着するとカメラのコンパクトさとは裏腹にかなり大柄に見える。
DeJUR Dekon SR

デジュア・デコン SR
DeJUR DEKON-SR

 トプコン PR IIの輸出バージョン。ペンタプリズムカバーに「DeJUR」の文字が入っているが、これはアメリカの写真用品商社の名前で、8mmカメラや二眼レフ、コンパクトカメラなどを主に販売していたようである。面白いことにトプコンは50年代後半からベセラー社と販売契約してA型として売られていたはずなのに、プリモJRはソーヤーズと、このカメラはデジュアと、そしてユニやRE-2はハニメックスと契約して、それぞれその名前で売りに出している。
 PR IIとの違いは名前以外には全くない。ただ、ハニメックスやベセラーのモデルと異なり、完全にTOPCONの文字が消えており、いわゆるOEMモノである。やはり巻上げ機構とシャッターの連動が弱いため、ここが故障しやすいのもPR IIと同じである。ただ、レンズ名はコンバージョンレンズも含めて「Simlar」の名を復活させている。
Exportation version of the TOPCON PR II. Although the character of "DeJUR" is contained in the pentaprism cover, this is the name of the photograph article selling company in the United States. This company had sold 8mm cameras, TLR cameras, and compact cameras, etc. TOPCON had made a selling agreement with BESELER from the second half of the 50s. But Primo JR was sold with named "Sawyer's", and this camera was named "DeJUR DEKON SR", and TOPCON UNI & RE-2 were named HANIMEX TOPCON. There is no difference from PR II in addition to a name. However, unlike the model of HANIMEX or BESELER, the character of TOPCON has disappeared completely, and it is the so-called OEM model.
The linkage of the winding-up mechanism and a shutter is weak too, so this tends to break down to is the same as PR II.

 

Topcon Wink Mirror

トプコン・ウィンクミラー
TOPCON WINK MIRROR

 1960年後期発売の、世界初のクイックリターンミラー付きレンズシャッター式一眼レフ。レンズはトプコール48mm F2で、4群6枚構成のガウス型にグレードアップしたが、固定マウントのままである。PRとは全く別系統のボディを持ち、少し大柄になった(それでもまだ小柄な印象)。寸法と重量はそれぞれ132×90×74mm、720gである。
 ファインダー視野率は96%と広く、ピントグラスにはスプリットイメージ式距離計が組み込まれているので、使い勝手の点ではPR IIよりはるかに向上した。シャッターボタンの面積が広く、多少の重さはあるものの、とても押しやすくなっている。ボタンの基部を覆うカバーのようなリングはネジ回すとシャッターを押せないまでせりあがり、ロックになる仕組みである。バホッというシャッター音が特徴。
This camera was launched in latter period 1960, and the leaf shutter single-lens reflex camera with the quick return mirrors at the first of the world. The lens is TOPCOR 48mm F2 and although it upgraded to the Gauss styles of constitution 4 groups 6 elements, but it has fixation mount. The measure and weight are 132×90×74mm and 720g.
Topcon WinkMirror & TOPCOR AUX. lenses  ウィンクミラーにも専用のコンバージョンレンズが用意された。カメラに装着されている方がTOPCOR AUX. TELEPHOTO LENS 80mm F4で、左がTOPCOR AUX. WIDE-ANGLE LENS 35mm F4。両方とも新たに設計されたもので、取り付けネジ径がPRシリーズ用と異なるため、互換性はない。
 それにしても望遠側のレンズの口径は巨大である。このフィルター径は77mmもあるので、純正のレンズフードはさらに広がった形になっているため、フードを付けて前から見るとカメラボディが隠れてしまうような大きさになる。
 これに対し、広角レンズは口径が細めで、装着してもそう違和感がない。
 ウィンクミラーは小型軽量なカメラであるが、コンバージョンレンズはまるでガラスの塊のような感じで大変大きくて重いので、持ち出すのがおっくうになる。フィルター径が49mmのレンズであれば、どのカメラにも使うことができるが、やはり全群交換式のレンズに比べて画質ではどうしても劣ってしまう。
Topcon Wink Mirror E

トプコン・ウィンクミラーE
TOPCON WINK MIRROR E

 1961年発売のセレン光式露出計を内蔵した、ウィンクミラーのグレードアップバージョン。まだEEではない。レンズはウィンクミラーと同じだが、ペンタプリズムの前に露出計が大きく張り出しているので、鏡胴の大部分が覆われ、ずいぶん印象が異なるものとなった。ボディも基本的には同じものなのだが、どうも不恰好になってしまった(でも、そこが魅力でもあるのだが)。このカメラにはピント合わせ用のヘリコイドリングが設けられておらず、レンズの右に見える丸い指掛けの付いたレバーで鏡胴を動かすようになっている。なお、この後ろの上にある絞り込みレバーの指掛けのようなものは実は単なるボディの突起部分で、何の機能もない。
 レンズはこのモデルからUVトプコール名になったが、これはバルサムに紫外線除去の成分を加えてUVフィルターの効果を持たせたものである。しかし、レンズそのものの構成はやはりウィンクミラーと変わらず、48mm F2である。
 ところで、このモデルの露出合わせは、ファインダー内で行なわれるが、追針式になる。つまり、露出によって上下する針を、シャッター速度・絞り値を変えて、ファインダー内にある別のコの字形の枠を動かして追いかける仕組みである。なかなか正確な露出を示してくれるので、外光式ながら侮れないものがある。
 上のウィンクミラーとこのE型にも共通のコンバージョンレンズが用意されており、広角35mmと望遠80mmの2種があったが、のちに廉価版のTOKO AUX. WIDE-ANGLE LENS 35mm F4と、TOKO AUX. TELEPHOTO LENS 65mm F4が新たに発売された(
詳細はここを参照)。この他に、顕微鏡アダプターも発売されるようになった。なお、時折このネームプレートの表記から「ウィンクEミラー」と表記されることがあるが、これは誤りである。
Beseler Topconette

ベセラー・トプコネット
Beseler TOPCONETTE

 こちらはウィンクミラーEの対米輸出バージョンで、ベセラー社から発売されたトプコネットというモデルである。機能的には別段ウィンクミラーEと変わったところはなく、ネームプレートのみが異なる。愛嬌ある名前が魅力のカメラであるが、生産台数は非常に少なく、中古市場にはほとんど現れないモデルである。
 レンズシャッター式一眼レフにとって複雑で厄介なクイックリターン機構を備えたモデルだけに、レンズシャッターや絞り周辺のオイルの経年劣化で固着し、一部の作動不良で全体が不動になってしまう個体が大変多く、元々生産台数が少ない上にそうした故障によって現存率がガクンと落ちるので、今後一層お目に掛かる機会が減ってしまうと思われる。
These cameras are the upgrading version of the selenium light photometer inclusion of launched in 1961. It is not "EE" yet. And the lens mount is fixed. The focus combines by the lever on the right side of the lens. From these models, the standard lens became "UV TOPCOR".

 

 ここまではトプコン・レンズシャッター式一眼レフカメラの前期のモデルであるが、PRを発売してからというもの、めまぐるしく新型のモデルを開発していた当時の東京光学のカメラ開発部門のたくましさには脱帽である。現代のスマホ市場と相通ずるような気もするが、当時のユーザーは大変な思いだったことも想像に難くない。やっとの思いで買ったのに、あっという間に旧モデルなんて、ちょっとくやしい話である。それでも、こうしたメーカーの努力があったからこそ、次に買い換える時により進んだモデルを手に入れることができたのだろう。日本のカメラ産業の発展は、この頃のメーカーの開発魂の賜物であろう。
We are surprised to the stoutness of the Topcon that was developing the new model since launched the Topcon PR. The development of the camera industry of Japan was brought about sincere attitude to the product development of the camera maker in that time.

  

 ところで、これらの機種を購入予定の方々は、ちょっと注意しておくべき点がいくつかある。
1. PR、PR IIの場合、ペンタプリズムの前面を支える部分にあるモルトが溶けて、プリズムのメッキを腐食させてしまうことがよくあるようだ。こうなったものはまず元に戻らないので、傷んだ銀蒸着の部分を剥がして、薄手のミラーを貼り付けることで何とか使えるようにできる。
2. これもPR、PR IIについてであるが、かなりレンズの曇りが進行したものが多いようだ。分解掃除すれば何とかなると考えて手を出してしまうと、後で泣きを見ることになるだろう。どうもPRのガラスとPR IIのガラスは材質が違うようで、どちらかというと前者にその傾向が強く見られる。今のところPR IIでレンズの死んだものは見たことがないので、ひょっとするとPRのみに当てはまることなのかもしれない。
3. ウィンクミラーは、巻き上げ軸周りのギア等のパーツが弱く、ここが故障しやすいようだ。手にとって巻き上げた時、何か違和感を覚えたら、購入は一考したほうがよいだろう。ちなみに、正常であれば巻き上げの手応えは感じるものの、そうギクシャクしていないはず。ただし、スムーズな訳ではなく、後半で少しコツコツとした反応がある。
4. ウィンクミラーEは露出計が無反応になってしまった個体が多い。しかし、これはセレンが死んだ訳ではなく、セレン板と半田付けされるコードの接点が劣化して通電不良になっているだけの場合が多いようだ。修理業者に出すまでもなく、軍艦部を開けることができたら自分で半田付けし直すことで元通りに復活させられることもある。なお、巻き上げレバーの軸の黒い円形のカバーは接着されているので、剥がし剤を使ってこれを取り外さないと、レバーを固定するネジが出て来ないため、レバーも軍艦部も外すことはできない。
 幸い我が愛機は今のところ全て順調に働いてくれるが、手痛い失敗もこれまでたくさんあった。しかし、可動品と言えども、レンズシャッター機は時折シャッターを切ってやらないと作動不良になりやすいので、気が付いたら空シャッターをちょくちょく切ってやることをお勧めする。

 

Topcon Club

LEAF SHUTTER SLR No.2