TOPCON CLUB (トプコンクラブ)

TOPCON CLUB-Leaf Shutter SLR 2 (Wink Mirror S - UNIREX EE)

 

Topcon Wink Mirror S

トプコン・ウィンクミラーS
TOPCON WINK MIRROR S

 1963年にREスーパーとほぼ同時に発売されたEE一眼レフ。初のレンズ全群を交換可能にしたレンズシャッター式一眼レフである。そして、ここで開発されたレンズマウントである「UVマウント」が76年頃のIC-1の終焉まで、基本構成を変えることなく受け継がれることになる。
 標準レンズはUVトプコール53mm F2。まだTTLではなく、レンズの開放値をボディに伝える必要はなかったため、REオートトプコールのようなTTL開放測光に必要な開放絞りの自動伝達機構は組み込まれなかったが、すぐ後でこれが失敗の元になった。
 露出計はセレン光式電池による外部測光式で、シャッターを押し下げるとともにメーターの針を押さえ、その位置に応じた絞り込み量をレンズ側に伝えるシャッタースピード優先式オートで、もちろんマニュアルでも使えるようになっている。

Topcon Wink Mirror S & UV Topcor lenses

 交換レンズはUVトプコール35mm F3.5と100mm F4の2本が同時にリリースされた。翌年のユニの頃になって135mmや200mmが加わった。ただ、望遠レンズでは露出計の測光範囲と実際のレンズに写るものとでは、誤差が大き過ぎるので、かなり補正してやらないといけないので、Autoを外して別にスポットメーターを使い、マニュアルで使う方が正確になる。
 ところで、ウィンクミラーSの頃のUVトプコールの特徴はレンズマウントの固定解除のレバーの形状で、三日月型の先が出ているのに対し、後のUNIの頃以降のレンズは、このレバーが台形の平たいものになっているので、一目で確認できる。
Topcon Wink Mirror S prototype  ウィンクミラーSは四角いボディで一見ごつそうに見えるが、随所にコストダウンからくる貧弱そうな面が見られる。当初左の外国向けリーフレットに描かれるように、VEBペンタコンのペンチナの両肩を落としたようなデザインだったが、ちょっと奇抜過ぎるため、販売モデルは四角い以外は平均的な形に変更された。
 ウィンクミラーの名は付いていても、前のモデルとは全くボディパーツに互換性はなく、ボディダイキャストフレームの大きさも一回り大きくなっている。ニコンのレンズシャッター式一眼レフのニコレックス35や同35IIも角張っていて似たようなデザインであるが、ポロミラーを使ってレンズも固定式のニコレックスに比べて、ウィンクミラーSは見た目のシャープさも機構的な面からもトプコンの方が先進的なカメラであったのは間違いない。
Porst Reflex S

ポルスト・レフレックスS
RPORST REFLEX S

 こちらはウィンクミラーSのOEM版である、ポルスト・レフレックスS。ポルストはドイツの写真商社なので、このカメラもヨーロッパで流通していたが、ウィンクミラーS自体が翌年にはTTL-EE機のユニに取って代わってしまったので、このカメラも非常に短命なものになった。
 ポルストはこの後安価なプラクチカやペトリ、コシナ等のフォーカルプレーン式一眼レフに自社銘柄を付けて販売していたが、その原点が実はこの“Reflex S”なのである。なお、カメラ名の刻印以外、ウィンクミラーSと異なる点は皆無である。レンズもそのままUV Topcor 53mm f2が標準で付いていた。
The single-lens reflex EE camera that was almost launched simultaneously with RE super in 1963. It is the first lens exchangeable LS camera. It was changed to this style, because it was too unique, although it was the such design that dropped both shoulders of PENTINA of VEB PENTACON at the beginning.

 

Topcon UNI

トプコン・ユニ
TOPCON UNI

 1964年発売の、世界初のTTL-EE一眼レフ。よく、コニカFTAが初のTTL-EE機と紹介されるが、実はこちらの方が4年も早かった。シャッター形式こそ違えど、シャッター優先式の自動露出機構は同じであり、やはり“初”の栄冠はユニの頭上に輝いて然るべきものだろう。
 ボディの骨格はウィンクミラーSと同じで、旧ウィンクミラーに比べて一回り大きい。遮光板もフィルムを浮き上がらせないようにウィンクミラーEのようにフィルム面の直前に立てておくタイプではなく、ミラーの後ろに斜めに設置されていて、これがミラーと共にアップするものを採用している。
 TTL機構はトプコンお得意のミラーメーター式で、ミラーに刻まれたスリットを通った光を背面のCdS板が感知するというもの。ただし、そのスリットのデザインはREスーパーと異なり、ミラー全般にまんべんなく刻まれておらず、どちらかというと中心部に寄っている。

Topcon UNI & Beseler Topcon Auto 100

トプコン・ユニとベセラー・トプコン・オート100
TOPCON UNI & Beseler TOPCON AUTO 100

 ユニはベセラー向けには「AUTO 100」と言う名前になって輸出された。プリズムカバーの上部に筆記体でBeselerの文字が刻まれていて、前面にTOPCON名が入っている。REスーパーはどちらの文字も斜面側に並んで刻まれていた。
 ところで、ユニのシャッターボタンは前面に付いているが、REスーパーのように水平に押し込むタイプでもなければ、ぺトリのように斜めに押し込むものでもない。ウィンクミラーSと同様、そのまま下に押すという、妙な形式をとっている。よって人差し指ではどうも押しづらい。
 デザインはセレン光板が露出していたウィンクミラーSと比べて断然良くなっている。REスーパーとイメージがダブるように仕上げられているが、質感はさすがに入門機としての位置付けからコストが掛けられなかったために、ところどころ安っぽさが散見される。特に巻き上げレバーの形状は今一歩で、削り出しではなくプレスで作られたパーツのため裏側が空洞なので、どうもダサく見えてしまう。巻き戻しクランクはウィンクミラーSではプラスチックのノブが円盤部分の高さと合っておらず、安っぽさが増幅していたが、ユニではさすがに金属製の板とつまみに変更された。
 このカメラも巻上げ機構が弱いようで、フォーカルプレーン機に比べて故障しやすいのは致し方なかろう。また、レンズシャッターが普段ユニット内で畳まれたままになるので、長らく使われなかったものは、ここが固着して上手く作動しなくなっている場合がある。一般の修理業者はレンズシャッターの修理を嫌うので、こうなったらしっかりと自分で修理できる場合はともかく、なかなか元の状態に戻すのは難しい。ただし、レンズシャッターも受け付けてくれる修理業者ももちろんあるので、諦めずに色々と聞いてみると良いだろう。ちなみにシャッターユニットさえ外すことができれば、羽根の固着は意外と簡単に元に戻せる場合が多い。

Topcon UNI & Beseler Topcon Auto 100 black finished

トプコン・ユニとベセラー・トプコン・オート100ブラックボディ
TOPCON UNI & Beseler TOPCON AUTO 100 black finished

 ユニにはブラックボディが用意されたが、実に精悍なイメージになる。ちなみに、当時のトプコンのブラックボディのカメラには、ボディ同様に黒鏡胴のレンズが標準で付けられており、このUVトプコール53mm F2も真っ黒なデザインである。上のレンズのように銀色に輝く部分は一箇所もない。ボディ側のパーツもシャッターボタンの上面とシンクロ接点とアイレット以外はクロームメッキのパーツは見られない。特にアクセサリーシューやASA感度変更用の小さなつまみまで黒いパーツが使われているような徹底ぶりである。
Hanimex Topcon RE Auto

ハニメックス・トプコン
REオート
HANIMEX TOPCON RE AUTO

 こちらはハニメックスブランドのユニ。名前もご覧の通りREオートとなっている。このモデルはベセラーのものに比べて格段に少ないようだ。
 トプコンB・Cにも相通ずるが、ブランド名の刻印がここまで小さくなってしまうと、何やら妙なデザイン感覚になってしまう。なお、「クラシックカメラ専科」23号のトプコンレンズシャッター機の特集に紹介されている、ハニメックス名の試作機には、オリンパスペンFのような長方形のシャッターボタンが、もっと上の位置に設定され、あたかも軍艦部上に取り付けられたようなタイプのものも見られるが、これは発売されなかった。
This is the first TTL-EE single-lens reflex camera of the world that launched in 1964. The framework of the body is the same as the Wink Mirror S. Mechanism of TTL is the Mirror meter method that the TOPCON does with good. However, slit design is different pattern with the RE super's mirror.

 

Topcon Unirex

トプコン・ユニレックス
TOPCON UNIREX

 1969年発表の事実上最後のレンズシャッター式一眼レフ。73年頃まで生産され、コーワSET-R2と並んで国産LS-SLR機の最後を飾った。
 標準レンズはUVトプコール50mm F2。白鏡胴の美しいデザインである。このレンズは実は前のUVトプコール53mm F2と基本的なレンズ構成は変わらない。しかし、鏡胴の仕上げはぐっと良くなっており、それまで感じられなかった高級感が表れるようになった(鏡胴の文字表記に赤を多用したのがそれを少なからずスポイルしているが)。
 ユニレックスのクロームボディの場合、フードまでクローム仕上げにこだわっている。これを取り付けたユニレックスの姿は、とても普及機とは思えないほど美しい。取り付けは鏡胴の先端ではなく、ヘリコイドリングの前部にネジ込むようになっていて、レンズとフードとの一体感は文句なしになる。
 このカメラの最大の特徴は、なんと言ってもTTL測光方式がスポット・アベレージで切り替えられるようになった機構だろう。巻き戻しクランクの基部に付いているレバーをS/Aの位置に合わせて切り替える。Sマークのスポット測光は伝統のミラーメーターで、Aマークのアベレージ(平均)測光は一般的なTTLカメラと同様に、プリズムの後ろに置かれたCdSで行われる。この頃マミヤやリコーでも同様の機構を持つモデルはあったが、いずれもAE機ではない。また、それらはフォーカルプレーン機であったという点も決定的に異なる。実は生産にあたって、このような過剰なスペックに反対する向きも社内にあったそうだが、複雑で生産の難しいのに安価であることを義務付けられた入門機的なレンズシャッター機であるにもかかわらず、ここまで作り上げたところにトプコンの意気込みを強く感じる。
Topcon Unirex black finished

トプコン・ユニレックス
ブラックボディ
TOPCON UNIREX
black finished

 こちらのブラックボディはユニのものと同様、レンズの鏡胴部も真っ黒である。他の多くの国産メーカーの一眼レフ用レンズはもともと鏡胴部が黒かったので問題はないが、トプコンの場合、鏡胴が基本的に白だったので、ブラックボディの製作は、別に黒鏡胴を作らねばならず、実はかなり面倒なことだったのではないだろうか。裏を返すとそこまでして白鏡胴にこだわったトプコンの信念の一面が見えてくるような気がする。
 このユニレックスがカメラ史上の全35mmレンズシャッター式一眼レフ中、最高のスペックを持つモデルであることは間違いない。仮に現代にレンズシャッター式一眼レフを作るメーカーが現れたら、一体どのようなものができるのだろうか。
Beseler Topcon UNIREX

ベセラー・トプコン
ユニレックス
Beseler TOPCON UNIREX

 アメリカの代理店であるベセラー名が入ったモデル。ユニはオート100という名前に変更されているが、ユニレックスの方はそのままの名前である。機構的な変更点はなく、国内モデルとの違いはない。73年になるとベセラーとトプコンの関係は切れ、ユニレックスは最後のEE型では既にベセラー名が入っていない。これはフォーカル機でも同じことで、スーパーDMからはベセラーモデルは存在しない。
 ところで、ユニレックスが発売された際に交換レンズも追加され、UVトプコール28mm F4が新たにリリースされた。また、従来の大柄なUVトプコール135mm F4が大幅に設計変更され、スリムで軽量なデザインになった。試作でUVズーム・トプコール85-200mm F5.6やUVマクロ・トプコール32mm F4が作られたものの、市販化には至らなかった。
This is the last leaf shutter single-lens reflex camera of launched in 1969. The standard lens is UV TOPCOR 50mm F2. It is the beautiful design of the chrome finished body. The biggest characteristic of this camera is a spot & average switching TTL system. It is the model that has the highest specification during all the leaf shutter single-lens reflex cameras.
The Topcon UNI & UNIREX containing the Beseler name was the agency of America. The Topcon UNI was changed to the name called "Auto 100", but UNIREX was not changed the name. In 1973, the relation between Beseler and Topcon cut, and the Beseler name has already not entered into UNIREX EE. And Beseler version does not exist from the Super DM too.
Topcon Unirex EE

トプコン・ユニレックスEE
TOPCON UNIREX EE

 1972年にデビューした輸出専用のモデルで、ユニレックスからミラーのスポットメーターを省いた廉価版。そのため巻き戻しレバーの基部に設置されていたA・S切り替えレバーがなくなり、すっきりとしたデザインとなっている。言い換えればがらんどうになってしまった訳で、それを埋めるためか、「EE」の文字をここに彫り込んでいる。巻き上げレバーも変更されていて、後のIC-1オートと同じプラスチックの指当ての付いたものが使われている。アクセサリーシューも真中が縦に切り抜かれたIC-1と同じもの。後のホットシューを見据えていたものかどうかは不明。
 標準レンズも50mm F2.8に格下げされている。このレンズはIC-1の時代にもHIトプコールとして生産された。
 その他の点ではユニレックスと変わりはないが、これだけでも随分安っぽくなったと感じられる。やはり、鏡胴まわりが黒くなってしまうと高級感は消えてしまうようだ。
 35mmレンズシャッター式一眼レフは、70年代に入ると既にトプコンとコーワのみが細々と作り続けるだけで、比較的遅くまで作っていたマミヤも撤退していた。元々入門機的な位置付けのモデルばかりだったので、安価な価格設定が当然のような印象だったが、実際はクイックリターン式のレンズシャッター一眼は機構的に大変複雑なものになり、メーカー側からするとあまり旨味のないものになっていた。それでも売れるならまだしも、既にこの頃にはペトリを始めとする安価でしっかりした性能を持ったフォーカルプレーン式一眼レフが色々現れており、何もわざわざレンズシャッター機に手を伸ばす必要性がなくなりつつあった。そんな中で奮闘していたトプコンとコーワであったが、この2社ではシャッターユニットの製造元の精工舎も採算がとれなくなって、いよいよセイコーシャSLVの生産を打ち切ることになった。その結果、生産済みの残ったユニットを用いて、トプコンではユニレックスEEが、コーワでは超広角レンズを固定したUW190を最後に販売して完全に35mmレンズシャッター一眼レフカメラの歴史が終了してしまったのである。この後、コーワは35mmカメラから撤退し、トプコンはシャッターユニットを電子式フォーカルプレーン化したIC-1オートを作り、UVマウントをもうしばらく延命させることになった。
TOPCON did not discard the lens shutter single-lens reflex camera until the last. But Seikosha that was producing the shutter evacuated. Therefore TOPCON set a focal plain shutter to UNIREX. This way IC-1Auto was completed. TOPCON never did not leave an important UV mount user to his face in the lurch.

 

 ここまではトプコン・レンズシャッター式一眼レフカメラの前期のモデルであるが、PRを発売してからというもの、めまぐるしく新型のモデルを開発していた当時の東京光学のカメラ開発部門のたくましさには脱帽である。現代のスマホ市場と相通ずるような気もするが、当時のユーザーは大変な思いだったことも想像に難くない。やっとの思いで買ったのに、あっという間に旧モデルなんて、ちょっとくやしい話である。それでも、こうしたメーカーの努力があったからこそ、次に買い換える時により進んだモデルを手に入れることができたのだろう。日本のカメラ産業の発展は、この頃のメーカーの開発魂の賜物であろう。
We are surprised to the stoutness of the Topcon that was developing the new model since launched the Topcon PR. The development of the camera industry of Japan was brought about sincere attitude to the product development of the camera maker in that time.

  

 さて、これらのレンズシャッター機は、どうしても高級機のイメージはなく、あまり現在まで大切に保管されてこなかったようである。そのせいか中古市場でも五体満足な個体はそう多くはなく、いざしっかりと実働するものを探そうとすると意外に苦労するかもしれない。比較的長期にわたって販売されていたユニやユニレックスはそこそこ見かけることがあるが、古いモデルはそうはいかない。生産台数が少ない上、以前は売買の対象として考えられていない場合が多く、使われないまま家の片隅で眠っていた可能性が高かったのである。その結果、PRはプリズムの銀蒸着が弱くてファインダーに難があるものが多く、ウィンクミラーとウィンクミラーEはお決まりのレンズシャッター羽根の固着からの不動、ウィンクミラーSはセレン光式露出計の不動等、問題を抱えたものが多い。ユニとユニレックスもCdS露出計が反応しない固体が多いが、実は単純な配線の接点が劣化しているだけの場合も多いので、レンズとシャッターさえしっかりしていたら、ジャンクでただ同然で購入し、電気系の接点(コードのつなぎ部分が弱っている場合がよく見られる)をいじってみて復活することを願うか、ダメでも機械シャッターゆえにマニュアルで使えると割り切って手を伸ばすのも良いかもしれない。トプコンのレンズシャッター式一眼レフの中で、タフなのは機構的に単純なPRIIだが、ユニとユニレックスも他社のレンズシャッター機に比べてかなりしっかり作動する個体が多いのも事実である。同年代のニコレックス・ズーム35やコーワSET-R、フジカレックスやマミヤPH等は十中八九何らかの機構が逝っているほどだ。
 レンズシャッター式一眼レフの最も良い点は、シンクロが全速同調するため、高速シャッターを使ったストロボ撮影が可能になることが挙げられる。これは日中シンクロでは大変有利な機能である。また、以前はブラウン管テレビの撮影に有利だったが、現在はそうしたものを撮ることがなくなったので、この点の優位性は消えてしまった。この他は別段フォーカルプレーン機に対して優れた点はないが、普通に使う限り別段使い勝手の点で特に劣る訳でもないので、レンズの明るさや超広角・超望遠レンズ等の特殊レンズを必要としない限り、充分使えるカメラ形式であると思える。

 

Topcon Club

LEAF SHUTTER SLR No.1